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わが国においては、女性の高学歴化、自己実現意欲の高まり等から女性の職場進出が進み、各年齢層において労働力率が上昇しており、将来においても引き続き伸びる見通しである。一方で、子育て支援体制が十分でないこと等から子育てと仕事の両立の難しさが存在していると考えられる。

(育児の心理的、肉体的負担)

わが国の夫婦の子育てについての意識をみると、理想とする子ども数を持とうとしていない理由としては、育児の心理的、肉体的負担に耐えられないという理由がかなり存在している。また、晩婚化の要因としても、女性の経済力の向上や独身生活の方が自由ということのほかに、家事、育児への負担感や拘束感が大きいということがあげられている。

(住宅事情と出生動向)

わが国においては、大都市圏を中心に、住宅事情が厳しい地域で、出生率が低いという傾向がみられる。

(教育費等の子育てコストの増大)

平成5年の厚生白書によると、子どもを持つ世帯の子育てに要する経費は相当に多額なものになっており、夫婦と子ども2人世帯のモデルの場合、第2子が大学へ入学する時点での子育てコストは可処分所得の約70%と試算される。また、一方で、近年教育関係費の消費支出に占める割合も増加してきている。

3. 子育て支援のための施策の趣旨及び基本的視点

(施策の趣旨)

子育てをめぐる環境が厳しさを増しつつある中で、少子化傾向が今後とも続き、子ども自身に与える影響や将来の少子化による社会経済への影響が一層深刻化し、現実のものとなることを看過できない状況にある。

従来から子育て支援のための施策は、国及び地方公共団体等で講じられてきたが、21世紀の少子・高齢社会を目前に控えた現時点において、子育て支援を企業や地域社会を含め社会全体として取り組むべき課題と位置づけるとともに、将来見据え今後概ね10年間を目途として取り組むべき施策について総合的・計画的に推進する。(基本的視点)

その際、以下の視点に立つことが必要である。

? 子どもを生むか生まないかは個人の選択に委ねられるべき事柄であるが、「子どもを持ちたい人が持てない状況」を解消し、安心して子どもを生み育てることができるような環境を整えること。

 

 

 

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