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児童を養育する能力があれば、必ずしも両親がそろっていなくても、里親として認定して差し支えないこととした。

? 委託対象の拡大

虚弱児、精神薄弱児を里親に委託することについては、従来極めて消極的であったのを改め、知識経験を有する里親への委託に積極的姿勢を示したこと。

? 二重措置

通所施設に通わせて指導訓練を受け児童の保護がより適切に行われる場合には、里親と通所施設への二重措置を認めることとしたこと。

? 民間団体の活用

里親制度推進のため、広報及び里親の相談機関として、公的機関の他、里親会等の民間団体の活用の規定を設けたこと。

? 里親申込者に対する家庭調査の見直し

最小限度必要なものだけに整理したこと。

? 里親の認定基準の見直し

大巾に整理したこと。

? 児童の保護内容の見直し

大巾に整理したこと。

? 秘密の保持

プライバシーの保護の観点から、秘密保持の規定を設けたこと。

? 特別養子制度

民法の改正で特別養子制度が設けられたことに伴い、これに関する規定を設けたこと。

なお、この通知の施行された10月を里親月間とし、里親制度が一般に周知され、理解されるよう、各種広報活動を展開している。

(1) 里親数等の推移

里親制度発足の1年後の昭和24年10月には、全国で里親登録数4,153人、児童を委託されている里親数は2,909人、委託児童数は3,278人となっていたが、以後、漸次増加の傾向を示し、登録里親では昭和37年に19,275人にまで達したのである。しかし、その後は里親数、委託児童数とも漸次減少の傾向を示し、委託児童数等は、最も多い時期の半数以下になってきている。このような最近の減少傾向は、児童の絶対数の減少が最大の理由であるが、そのほか人口の都市への集中、家族形態の変容、住宅事情の変化等の社会構造、家庭生活様式の変化が大きな原因であると同時に、それに伴う、人々のものの考え方も、マイホーム的考え方の増大等と変化してきたことも大きな原因と考えられる。

これを、里親の職業別にみても、かつては農村中心であり、里親村とまでいわれた地区も存在したほどであるが、最近の傾向としては、常用勤労者(いわゆるサラリーマン家庭)が増加しつつあり、里親村等と呼ばれる地区の存在は極めて稀れとなってきている。

また、この委託児童の減少傾向に大きく影響しているものに、孤児等親がいないために措置される児童よりも、親がいても、その親に問題があったり、病気等で一時養育できなくなったために措置される場合が多くなったり、里親に児童を委託することに実父母の同意が得られないことなどにより、児童相談所における児童措置の姿勢等も影響しているものと考えられる。

さらに、里親自身の問題として考えられるのは、この里親制度が養子縁組を希望するものも包含しており、そのため、いわゆる養育里親と異り、児童のえりごのみをする場合が多く、また、上記のような児童側のニーズの変化に対応できずにいることも原因の1つと考えられる。

(2) 里親制度の改善

昭和23年里親制度の発足により、措置費として、児童の生活に必要な費用と里親手当が支給され、年々増額充実されている。里親手当は昭和39年度以来月額500円に据え置かれたままだったのが昭和47年度に1,000円に、昭和49年度に3,000円に、昭和59年度に11,000円に、平成元年度に16,000円に逐年増額され現在(平成9年度)は24,000円になった。また、生活教育費等については、昭和48年度から高等学校に進学するための経費として特別育成費が新設され、高等学校に在学している場合には、18歳をすぎた児童についても措置児童として取り扱い、措置費が支給されることとなった。さらに平成元年度には、高校入学時に支度金が支給されるほか、私立高校へも進学できるよう、特別育成費の内容改善が行われ、また、平成4年度には新規に里子を委託する際の里親受託支度費が、平成6年度には高校3年生の見学旅行費が新たに認められる等各種の改善がなされた。

昭和63年4月からは、中学校を卒業した後、里親家庭から通勤可能な地域に就職する児童であって、なお引き続き助言・指導が必要な場合には、概ね6ヶ月程度措置継続ができることとなった。(参考資料8参照)

昭和42年には、所得税法の一部が改正され、里親に委託された児童についても、所得税法に規定する扶養親族とされ、新たに扶養控除がなされることとなった。

昭和48年度からは、里親促進事業費補助金が厚生省から全国里親会に補助され、各県里親会の事業として里親会活動の積極的運営が促進されることとなった。また、昭和56年度には、短期里親開拓事業費が追加され、主として大都会でニーズの高い短期里親の開拓が図られることとなり、さらに平成元年度には未委託里親施設行事参加活動費が、平成7年度からは未委託里親ふれあいキャンプ等事業費が追加され、その充実強化が図られた。

(3) 里親会の全国的組織化とその活動

個々の里親は、市郡等の小地域単位、さらには都道府県単位に徐々に組織化が進み、昭和29年には任意団体として全国里親連合会が

 

 

 

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