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当診療所は,全てがマイナスの伸び率となっており,老人医療も国保に関する限りマイナスの伸び率となっている。

3. 国保の中の老人医療費,件数割合(図7)

町国保に占める老人医療費の割合は年々上昇し,H.8年に僅かに下がったが,H.6年から50%を越えている。件数もH.4年の32%からH.8年には41%と年々比率を高めてきている。

当診療所では,件数は多少の変動はあるが明らかな上昇傾向はなく,H.8年には町と同じ41%になっている。医療費はH.4〜6年までは73%台で推移していたものの,H.7〜8年には80%前後に上昇している。

 

V. 考察

A. 当診療所の実績と評価

過去5年間の診療実績からみる限り,赴任前のH.3年度の実績を上回り(平均127%),基本的には件数の伸びによって達成されている。特に国保の件数が相対的には減少する中で,社保(特に老人)の比率が高まっている。しかし全体としては,件数は漸減の傾向にあり(人口の減少を考慮すると島民一人当たりの件数はこの5年ほぼ一定),内容的には老人医療の占める割合(特に社保老人)の上昇はあっても,絶対件数の伸びる可能性は極めて少ないものと考えられる。

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件当点は,意識的な努力により(検査,薬の使用を必要範囲で行う,症状の安定しているものは通院期間を長くする,等々),この5年の平均はH.3年度の91%に抑えることができた。この間の医療費改定や自然増,島内人口の高齢化等を考えると,実質的には更に件当点は抑えられていると考えられる。(一人当たりの医療費の伸びはH.5〜12までの平均が6.5%と推定されている)1)

医療費の中で国保と社保の割合をみると,H.3には2:1であったものが,社保の比率が年々伸びてきている。これは島民の減少の多くは国保世帯であることと,社保の中では老人件数の伸びが著しいことによるものと考えられる。全医療費に対する老人医療費の占有率でみても,国保では40%台を漸減しているのに,社保では年2.6%以上の割合で増加し,H.3年からH.8年まで13%以上も上昇している。このため,老人医療費はH.3年度には全医療費の66.3%だったのに対し,H.8年度には72%を越えるに到っている。

件数の内容をみると,H.3年度に対しH.4〜8年の平均は国保で133%,社保では139%となっており,この間社保の件数が伸びたことを示している。しかし図2に表されているように,H.6年からは両者が接近したまま,漸減傾向にある。この間一貫して件数の伸びているのは社保老人で,国保老人はH.6年に100件以上低下したものの,H.7年から再び上昇に転じている。この二者以外は全て漸減傾向にある。H.5〜8年の老人以外の島民一人あたりの件数をみると,平均1.7でほぼ安定している。このことから,老人以外の人口の減少は,確実に件数の減少につながるものと考えられる。

 

 

 

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