III. 対象と方法
当診療所における,平成3年から平成8年度までの診療実績をもとに,医療費(医療収入),件数,件当点について検討した。また,老人医療費の推移と保険別(国保,社保)の推移も検討した。特に平成3年度(前任者の時期)を入れたのは,平成4年度以降と比較するためである。また,町の医療費について,国保の外来(歯科を除く)分に関して当診療所の国保との比較検討を行った。
IV. 結果
A. 当診療所の医療費,件数,件当点の推移
1. 全医療費,件数,件当点の推移(図1)
医療費はH.4年度に上昇してからほぼ横這い状態である。H.4〜8年の平均をみると,H.3年度の127%で推移している。
全件数もH.4年度に上昇した後ほぼ横這い〜漸減傾向にあるが,H.4〜8年の平均は,H.3年度の140%で推移している。
一方件当点は,H.7年度を除けばH.3年度を下回っており,H.4〜8年の平均も,H.3年度の91%で推移している。
2. 全件数の内訳(図2)
H.3年から4年にかけて全体が急な上昇をした後,社保老人を除いて全て横這い〜漸減傾向にある。社保老人だけは毎年上昇しており,H.4〜8年の平均件数は,H.3と年度の157%となっている。また,H.4〜8年の平均で最も伸びの少ないのは国保老人で,H.3年度の124%である。
また老人医療の件数はこの間133%で推移しているのに対し,その他は146%の推移である。しかしH.7〜8年に老人件数は緩やかながら伸びているのに,他は明らかに減少傾向を示している。
保険別にみると,H.6年度に社保の件数が国保の件数を上回り,H.8年に再び逆転したものの,この3年はほぼ接近している。
3. 保険別医療費(表1)
H.4年以降国保の割合が,年平均2.5%の割合で減少している。社保はH.3年度には国保のほぼ半分だったが,H.8年度には国保と7%ほどの僅少差となっている。
4. 保険別件当点の推移(図3)
国保ではほぼ横這い状態で,H.4〜8年の平均はH.3年度の85%。社保はH.4〜6年はH.3年度を下回ったが,H.7〜8年の上昇により平均105%となっている。またH.4〜8年の平均件当点は,社保老人以外はすべてH.3年度を下回っている。特に国保の本人家族分は年々下がり,H.3年度に対し平均で67%の推移となっている。