日本財団 図書館


したがって,今後介護支援センターの存在を地域住民に広く知られるように医療スタッフ,福祉スタッフそして行政に努力が求められる。そうして住民からさまざまな相談を受けることにより,村内の医療,福祉に関する問題点を明らかにしていくことができるであろうと期待されている。

 

V 結語

多くの地域では医療スタッフ,福祉スタッフ,そして行政と一体となった在宅医療や看護,介護がなされている。さまざまな形はあろうが,三者の意見交換により意思疎通を図ることは当然のことと考えられる。しかし普代村ではやっとあたりまえの連携が始まりかけただけである。実際はまだ正式なそのようなスタッフどうしの会合などは始まっていない。

私自身の立場としては言い訳にもなるが,現在の村内の医師が私一人であり,休日の緊急時の体制がまったく確立できないでいること,県から普代村への自治医大生の派遣は私が最後で,後任の予定者もなく,今後村に医師が確保できる保証がないことなどを考えると,必要性を感じつつも福祉スタッフと一体となって在宅医療に取り組もうという行動はとれなかった。しかしやはり褥瘡処置などの往診をする度に,ヘルパーや保健婦などの福祉スタッフと一緒に行動できたら,より患者のための医療になるのは明らかだと感じていた。そして今回,介護支援センターの開設で,今まで会うことの無かった多くのスタッフと話す機会が増え,やはり,医療,福祉,行政のどれが欠けても在宅での療養は成功しないと感じた。そこで今回改めて,主に医療側からの視点で普代村の在宅医療,在宅ケアヘのこれまでの取り組みを省みて問題点を挙げた。今後それら問題点を解決するよう努力し,村内の在宅医療,在宅ケアを発展させていきたい。

 

参考文献

1) 茨城県医師会編:「医師にとっての訪問看護」,2・11,1997

2) 厚生省大臣官房統計情報部「老人訪問看護・訪問看護報告(概数)」平成9年9月3日

3) 寝たきりを防ぐ:別冊総合ケア:医歯薬出版,1992

4) 厚生省:平成8年度実績の老人保健福祉マップ

(普代村国民健康保険診療所 〒028-8333岩手県下閉伊郡普代村10-4-1)

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION