平成8年度の実績では,百人あたり年間986.8日と県内最高日数であった4)。したがって,これら福祉サービスのスタッフは村内の健常な高齢者および療養を要する高齢者の多くの情報を把握している。
それでは具体的に,村内のホームヘルプ制度,デイサービス制度,ショートステイ制度について状況を述べる。
当村のホームヘルプ制度は,昭和46年にヘルパー1人,対象人員10人でスタートし,平成7年からはヘルパーが5人,対象人員が32人で固定している(表3)。ヘルパーの人材不足や行政運営上の問題もあり,ヘルパーおよび対象人員の増加が困難で,平成9年9月現在も同様な数値である。訪問頻度としては,一人の対象者に対して週に1〜2回の実施となっている。現在対象者32人中寝たきりの高齢者は7人で,そのなかに当院でも平成9年9月現在定期的に往診している3人が含まれている。しかし,これまでヘルパーとの打ち合わせや報告会などの情報交換の機会がなく,診療所,ヘルパー側とそれぞれ個別の活動であった。
一方デイサービスにおいてはその活動の始まりは新しく,平成5年4月に特別養護老人ホームと同時に併設で開所した。登録人員に月ごとの変遷はあるが,平成9年9月現在の登録者実数は159人である(図3)。地区ごとに送迎バスなどを用いて,ひとりあたり月に2〜3回の利用となっている。在宅の寝たきりの高齢者の利用も積極的に進めており,平成9年9月現在,村で把握している寝たきりの高齢者は12人であるが,そのうち4人が送迎を受けて利用している。また当院が定期的往診を行っている3人のうち1人が利用している。デイサービスの場合,機動力のある交通手段があるため,そのような利用者に何か健康上の異常があれば,送迎の際に診療所に立ち寄ったり,あるいは当院からの週1度の老人ホームの往診日にあたる日では,ホームの医務室を訪れるなどして在宅療養の高齢者を診察できる。しかし,それもサービスの利用者に限られるので村内の在宅療養者を十分に把握するまでには至らない。
ショートステイ制度もまた特別養護老人ホーム,デイサービスと同時期にはじまった。老人ホーム内にベッドが有り,利用者も増加傾向にある(図4)。ショートステイ利用者も老人ホームの往診時に診察,診療ができるが,やはり退所すればその後の状態は家族からの往診依頼がない限り把握できなかった。
V 在宅介護支援センターの開所
そのような状況のなか,平成9年4月1日より普代村では在宅介護支援センターが保健婦,看護婦,ヘルパーの3人体制で特別養護老人ホーム,デイサービスセンターとの併設で開所し,村内の介護や,福祉サービスの相談や指導に関して窓口が一本化した。ここには当然ながら,福祉サービスに関する情報がすべて集まっているので,医療側としてもさまざまな住民の情報が得られやすい。また老人ホームに併設しているので立ち寄る機会も多く,これまであまり話ができなかったヘルパーとも情報交換の機会が増え,これまでよりも村内全体の在宅療養者の状況が具体的に掴みやすくなってきた。
介護支援センターは,まだ開設されたばかりで住民の認知度は低く,機能が理解されていない点もある。