方法では,母親に調査の趣旨(抗生剤投与の有無は知らせない)を説明し,了解の得られた者には治療に対する効果判定のため図1に示す経過表への記載を依頼した。なお,経過中に改善のない場合や症状に不安などのある場合には,すぐに再診あるいは電話での連絡を指導した。
経過表には,受診までの日数,セルフ・ケアの有無,受診時の症状,さらにその後の経過について記載させ,各症状の重症度については母親の印象に基づき,5段階(4.非常に重い,3.やや重い,2.軽い,1.非常に軽い,0.治った)より選択させ,検討にはある日の点数の合計(以下症状点数)を利用した。薬剤投与については,一連の患者に対して受診の順に従い,奇数番には抗生剤投与(原則としてABPC30mg/kg/day,それが使えない例にはMOM30mg/kg/day)+対症療法(鎮咳去痰剤)群(以下抗生剤投与群),偶数番には対症療法(鎮咳去痰剤)のみの群(以下対症療法群)とに分け,1回投与期間は原則として3日間とした。薬剤の副作用7)については,薬剤投与後に出現した下痢,発疹,嘔吐を中心に調査した。
統計学的評価は,多変量解析ソフトStat View IIにて行い,2群間の差の検定には対応のないt―検定を,背景因子の解析には重回帰分析を用いた。
2. 結果
受診時協力を承諾した177名中100名(56.5%)より回答を得た。そのうち4名は表2上に示した理由により経過中抗生剤の投与を余儀なくされたために研究から外され,最終的には96名が検討可能な対象となった。なお,回答のなかった例(表2下)には3月末直接電話により受診後の病状を聴取した。
対象は抗生剤投与群49名,うち解熱剤使用例は25名,対症療法群47名,うち解熱剤使用例は24名であった。