日本財団 図書館


015-1.gif

 

015-2.gif

 

015-3.gif

<症例4.>

症例:利尻島在住。

現病歴:1997年8月25日午前7:30,突発した激烈な腹痛で救急車にて利尻島国保中央病院に搬入された。

現病:血圧102/60mmHg,体温34.1℃。腹部触診では全体に柔らかいが,右下腹部に反跳痛を伴う圧痛あり。WBC 900/mm3,RBC 452×104,Hb 15.7g/dl,plt 4.5×104,TP 5.lg/dl,SAMY 993 IU/1,BUN 23.5mg/dl,Cr l.lmg/dl。

入院経過:急性腹症のため午前11:00緊急手術を施行した。回盲部穿孔により腹腔内は糞便が充満しており,治療は回盲部縫縮および腹腔洗浄を行った。敗血症によるショック状態でDICも併発したためDOA,DOB,NAD,ulinastatin,FOY,AT-?V,γグロブリン,抗生物質などにより集中治療を開始した。一時小康状態を保つが,第4病日深夜より呼吸苦を訴え痰の喀出が増加し,第4病日午前7:00頃から酸素飽和度が80%台に低下し,血液ガスはpH7.206,Pa0251.3 mmHg,PaC02 66.6mmHgと低酸素血症をきたしたため気管内挿管の上人工呼吸管理を開始した。胸部Xp(Fig.7)では右肺が虚脱し,すりガラス状陰影を呈し,縦隔の偏移を認めARDSと診断した。治療は新鮮凍結血漿やステロイドを加え挿管チューブからボスミン注入も行ったが改善しないため,気管支鏡下に右肺にS-TA240mgを投与したところ,酸素飽和度は85%から98%へと改善した。胸部Xp(Fig.8)でも肺野は透過性が著しく改善した。しかし3時間後には再度酸素飽和度は85%へ低下し胸部Xpでは右肺は虚脱し,呼吸状態が悪化した。その後敗血症に伴うDIC(肺出血)および多臓器不全の悪化のために第5病日死亡した。

015-4.gif

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION