著者らはこの結果を踏まえ,さらに海女作業との関連を重視して,「チヤマイ」の診断基準として作成したのが表3である。A(3)の10項目の症状は,診療録に記載されている症状を列挙した。「2つ(またはそれ以上)」としたのは,「チヤマイ」として診療所を受診したほとんどの海女が2つ以上の症状を示したためである。以後文中で「チヤマイ」と称する際はこの診断基準に則って使用されていることを付言しておく。
III 結 果
A. 「チヤマイ」の出現頻度
「チヤマイ」を経験したことがあるかという設問に対し,あると回答したのは18人(30%)で,内訳は男2人(11%),女16人(36%)であった。
この18名について検討したところ,男性2人を含む9人が我々の診断基準で除外された。その理由を表4に記載したが,除外した理由は「海女仕事に関連した発症」ではない,ということである。従って,残り9人(15%)が最終的に「チヤマイ」と診断された。
B. 「チヤマイ」の発症時年齢
30歳台が最も多く,4人(44%)であった。図3にその分布を示す。
C. 「チヤマイ」の症状
複数可として回答してもらった。症状の内訳を図4に示す。最も多いのが「動悸」(9人)であり,次いで「めまい・浮動感」(3人),「呼吸困難感」(2人),「吐き気」(2人),「頭が熱くなる」(2人)であった。一人あたりに認められた症状の数は2個が6人,3個が1人,5個が1人,6個が1人であった。