話しておりますオンブズマンとしての機能に十分値するもので、まったくなんら遜色のないものです。これが皆さんの現状にあった基本的なものと認識しています。この機能は日本的なものであると思います。
竹澤委員:パキスタンにおける国のオンブズマンと州のオンブズマンとの関係について教 えてください。
サラム氏:パキスタンは4つの州からなる連邦制度をとっている共和国です。そして、その4つの州をまとめる中央政府があります。私共の国のオンブズマンは、国家の扱う様々な問題として国防・外交問題、外貨の問題等を国の問題として扱います。州政府は国防関係、外交問題、その他国が扱う問題について干渉できません。州が扱う問題はそれ以外のもので、例えば下水・河川等人々の生活に関する問題や州内部に関する問題を取り扱います。国のオンブズマンは国家機関内部の省庁に関する問題、国家公務員に対する苦情を扱い、2人ずつおります州のオンブズマンは、州政府の官僚や管理、行政上の問題等を扱います。仮に、国のオンブズマンに対して州政府に関する苦情が申し込まれました場合には、州政府のオンブズマンに事案を移送しますし、反対に、国に関する苦情が州政府に申し込まれた場合には、国のオンブズマンに移送します。国と州のオンブズマンは互いに独立した機能を持ち、独立して働いていますので、州政府のオンブズマンの決定に対して、国のオンブズマンがその決定に対して異を唱えたり、意見を述べるということは決してありません。
鎌田全相協会長:今のお話のとおり、日本とは国の構造、憲法上の構造が違うため、日本人には連邦国家という観念がつかみにくいと思います。連邦国家でもドイツ、パキスタン、アメリカ等それぞれ憲法上の構造が違い、例えばアメリカの場合は最初に州が存在し、州で管轄しきれない外交問題、公務員の問題等を国が管轄するという組織で成り立っています。最初に国が存在して後から県ができた日本の構造とは根本的に違います。だから、むしろ私共日本人が考えている国という観念は、州の方に近いと思います。また、連邦国家でも規定に違いがあって、例えばアメリカの憲法では、憲法に規定されていないことは州の法律が優先し、逆にカナダの場合には国家が優先するという違いがありますので、憲法上の違いを理解しないと同じ州という観念を比較しても考え方が違ってきます。しかし、そういう違いはありますが、国際会議に出席して感じたことは、どこも同じような活動をしているということです。ですから国々が制度の共通点を認識しあって、国際的な流れに沿うことが大切だと思います。
平山局長:先程受け付けの話から広報活動の話に展開しましたが、どんな立派な行政相談 制度が存在したとしても、地域住民が認識し、存在を知り、活用しなければ意味がありません。中澤委員、広報活動の点で工夫していることがあればお話しください。
中澤委員:私は仙台市東部の高砂地区に住んでいます。仙台新港付近で農家、工場、サラリーマン世帯が混在しており、約5万人が生活しております。私は民生委員、保護司、