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鎌田全相協会長:参考としてお話をさせていただきます。ニュージーランドの面積は我が 国とおおよそ同じですが、オーストラリアは面積がとても大きく、仙台と同じように行政苦情を受け付ける守備範囲が広いので、日本の行政相談委員制度を参考にして、今までの治安判事とオンブズマンとの結び付きを考え直し始めているということです。

 

岩渕委員:私達行政相談委員は行政に対する苦情の受け付けをしていますが、私は相談を 待っているという受け身の立場ではなくて、むしろ攻めの相談ということで巡回相談や各種会合などに行って、チラシやリーフレット、行政相談委員の名刺等を使ってPRしています。貴国ではどのような工夫をなさっていますか。

 

エルウッド氏:今の話から私共との比較をさせていただきます。まず今おっしゃいました けれども、皆さん行政相談委員というのはオンブズマンと違い、調査権や調査官を使うといった権限をもっていないということですね。苦情処理においてオンブズマン的パワー、つまり事案を処理することですとか調査をするといった権限がないということですね。解決策としまして、皆さんは勧告するとか罰則を与えるといったことができないわけですから、政府機関や相談機関の方々から協力をいただき、いくばくかの強制力のある問題解決や勧告等ができるという形がよろしいのではないでしょうか。

 

岩渕委員:私達も自分で解決できるものはいたしております。難しいものは東北管区局に 報告しています。

 

竹澤委員:行政相談は市民と同じ目の高さで行っています。苦情の中には簡単なものと難 しいものとがありますが、難しい事案は東北管区局のほうに提報し処理してもらっておりますし、また、行政監察に移行して処理する場合もあります。さらに、全国のいくつかの管区行政監察局・事務所には学識者等で構成されている行政苦情救済推進会議というものがあります。これは、ただ官庁の判断だけで行うのではなくて市民的なレベルで判断してやっていくというものです。行政相談委員自体が権限を持っていることは必ずしもよいことではなく、一般の国民から恐れられて本当のことを言わなくなってしまう。ですから市民と同じ立場で考えるということに徹しています。解決策はだんだん重い権限がある方に上がっていきます。日本の場合には、行政相談委員と総務庁の行政監察局と行政苦情救済推進会議の3つがワンセットでオンブズマン的機能を果しております。

 

エルウッド氏:ご説明大変ありがとうございました。非常によく理解できました。今おっ しゃいました行政相談委員、調査・勧告を行います総務庁の行政監察局、それから有識者が集まって行う行政苦情救済推進会議、これらの機能を兼ね備えた3つの機関が苦情救済を行っているということが非常に良く理解できました。これら3つの機関がいろんな形で連携し合っていることと思います。このような機能は私共が今世界中で

 

 

 

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