エルウッド氏:公的な問題に対して権力を有するオンブズマンは2人おり、このオンブズ マンに対して38名の調査官がおります。この38名のほとんどが弁護士など法律の専門家です。
竹澤委員:調査官は男性と女性ではどちらが多いですか。
エルウッド氏:男性より女性が多いです。最近は男性よりも若い女性の方がとても優秀なようです。
竹澤委員:サラムさんにお尋ねしますが、最近では何件くらい受け付けして、何件くらい オンブズマンのもとに上ってきましたか。
サラム氏:今ここに、パキスタンの統計年報がありますのでお知らせします。去年は4万 2,178件程の苦情を受け付けし、そのうち2万9,740件の苦情の処理をいたしました。その中で4,403件がきちんと処理されました。
これは去年の統計年報からですけれども、1995年から去年に繰り越した件数が1万4,403件あります。それから去年受け付けた件数が先程申しました4万2,178件ですので、トータルしますと5万6,581件になります。そして、そのうち事前調査して調査に値しない、対象外と判断したものは2万1,985件です。ですから苦情受付ということで私の事務所が受け付けた件数は3万4,596件ということになっております。
パキスタンでも、苦情を受け付けし処理していくか、調査官に担当・処理してもらいどのように勧告を行うか、その過程はニュージーランドの過程とまったく同じです。1つだけ違う点は、私共の国はまだまだ貧しい国なので、フリーダイヤルがないという点です。ニュージーランドの無料電話は非常に参考になりましたので、政府に働きかけて、可能であればフリーダイヤルを推し進めていきたいと思います。
エルウッド氏:ニュージーランドの制度をご紹介します。ニュージーランドでは、市民は 問題がある省庁に直接出向き、相談できるシステムになっています。関係省庁の窓口に行き、市民が直接対話して、苦情を受け付けしてもらえるという第一段階があり、問題解決が難しいとか、複雑な場合にはオンブズマンのところに案件を持ってくることになります。オンブズマンのところまで上がってくる前に、行政相談委員の皆さんと同じ様な治安判事という者が、あまり格式ばらないで問題解決に当たるというシステムを確立してはどうかと考えております。
竹澤委員:オンブズマンとは別に各省庁には相談窓口はあるのですか。
エルウッド氏:はい。各役所の相談窓口はあります。現在、正式にオンブズマンの下で治安判事が働いているわけではありませんが、今その実現のための雰囲気を作り上げています。