考えつきたい、その反面、先程から出ているように、そういうことを「各行政機関の枠を越えて」などと議論をする前に、インターネットその他の通信技術が解決してしまうかもしれないなということも傍らで思いつつ、これを課題として、そして、すぐにも解決するべきものではないかなというふうに感じている次第です。
司会者(本田弘 日本大学教授)
パキスタンのオンブズマンであり国際オンブズマン協会の理事のアブドゥル・シャクルル・サラム判事さんの特別講演、そしてニュージーランドのチーフ・オンブズマンで同じく国際オンブズマン協会理事のサー・ブライアン・エルウッドさんの特別講演、われわれは、この2つの内容豊かなそして魅力あるスピーチを拝聴しました。その後、「市民にとって望ましい行政苦情救済制度をめざして」というテーマの下にパネルディスカッションを行ったわけですが、6名のパネラーの方の発言を中心に、また、それに対して会場から多くの質問もいただいて、大変活発なディスカッションになりました。
最後に、拝聴した議論の全体を通じて、共通の認識のための取りまとめを行ってみたいと思います。大変に内容の多い、そして比較的細かい部分に議論が入ったところもあります。そういうことで、共通認識をすることはいささか困難ですが、あえてこれを3点ほどにまとめることができるように思っています。第1点は、便利で総合的な苦情処理の仕組みをどう作っていくかということだろうと思います。第2点は、制度の一層の充実、各制度間の連携を強化するということだろうと思います。第3点は、積極的な交流を図り、情報交換をますます展開していこうということだろうと思います。本日のディスカッションは、大きくこの3点に集中したというふうに考えています。
まず、第1点の「便利で総合的な苦情処理の仕組みの実現出ですが、塚本さんは、レジュメの中でも「社会環境の変化に応じて、国民の行政に対するあらゆる苦情に対応できる方策を検討すべきだ」と話しておられますし、竹沢さんも、「相談活動の一層の総合化が求められる」ということでいろいろな事例を出しておられます。佐藤町長さんは、 「行政苦情への対策的な視点ではなく、むしろ多様な住民の声を吸い上げて、住民と企業と行政の一体的な参加システムを作るべきだ」という提案をしておられます。このことは、言葉を代えれば、「総合的な苦情処理の仕組みづくり」と理解することができると思います。また、本県のオンブズマンの立場から株屋さんは、「県民は行政に対する苦情を気軽に申し立て、権利の救済や行政制度の改善を求めることができる」とした県政オンブズマン制度を説明されたわけですが、これにも、「市民にとって便利な苦情処理の仕組みの実現」という思いが込められているわけです。さらに樋口さんの話にも、職を持つ婦人の会の例を話されて、これからは行政に物を申すシステムあるいは救済制度そのものを具体的に作り上げていくというシステムづくりの話がありました。大塚さんの発言の中にも、「行政相談委員の存在についてのPRには、市町村の全面的な協力が必要である」、しかも、「事案の解決事例などを地方公共団体の広報誌上で多くの住民の方々に知ってもらったらどうなのか」ということをこのレジュメの中でも書いておられます。これも言葉を代えれば、「総合的な仕組みづくり」だと理解することができ