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司会者(本田弘 日本大学教授)

先程沖縄の石田さんから発言がありましたが、ニュージーランドでは、「オンブズマン」という名称は国でやっているもの以外には使ってはいけないという問題について、エルウッドさん、もしよろしければ補足していただきたいと思います。

 

ブライアン・エルウッド(ニュージーランド・チーフ・オンブズマン)

オンブズマンという言葉ですが、まず、私どもオンブズマンの同意がなければ使ってはいけないということがあります。しかし、例外として、2つほどプライベートセクターにおいても使えるということがあります。これからお話します。

私が言った2つのオンブズマンということに関しては、銀行オンブズマン(銀行を監視するためのオンブズマン)、それから保険会社あるいは投資に関するオンブズマン制度といったものがあります。もちろん私どもは、この2つのオンブズマンをプライベートセクターで使うことができるのですが、この監察を行うオンブズマンは、もちろん銀行とか保険あるいは証券といった産業から独立していなければならないし、十分な監察が行える資質がなければなりません。そして、その調査結果はもちろん公に報告する義務があります。

 

司会者(本田払 日本大学教授)

オンブズマンが出たところで、先程、林屋先生からいろいろと説明がありましたが、現在、日本の都道府県あるいは市町村のオンブズマン(もちろん公的なオンブズマンの話ですが)制度と行政相談の制度が若干違うのではないかというふうに理解もできるのですが、林屋先生いかがでごしょうか。

 

林屋礼二(宮城県県政オンブズマン)

日本の場合には、先に地方公共団体にオンブズマン制度が入ってきて、いま国にそういう制度を入れるかどうかということが議論されているわけですが、日本の場合でいうと、オンブズマンの中には先程言ったような川崎市のように、市民の代表者である議員によって構成される議会で制定された条例によってオンブズマン制度が設けられているというような場合には、行政に対する監視機能というのがあるわけです。行政に対する監視機能というのは、オンブズマン自身の判断でいろいろな調査をすることができる、すなわち市民からのいろいろな中立その他を契機にして調査をするという場合もあるし、オンブズマン自身が新聞などを読んでいてこれは問題だと考えた場合に、独自の調査をしていくというようなこともできるわけで、とにかく行政の姿勢、運営に対する監視機能ということです。そういう場合でも、もちろん市民あるいは県民の権利救済機能を持っており、それに伴って制度改善機能を持っているということです。われわれ宮城県のオンブズマンは、権利救済機能と制度改善機能だけですが、他のオンブズマンの場合には、こうして、さらに行政に対する監視機能を持っているところがあるわけです。これに対し、行政相談委員の制度の場合には、権利救済機能はあるが行政監視機能はないので、両方を一緒に考えていくというときには、オンブズマンの中の権利救済機能との関係で行政相談などとの関係が考えられていくということになるのでしょうか。そしてそ

 

 

 

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