とによって、何も県庁所在地まで来なくてもきちんと審査を受けられるというように、柔軟にシステムを運用しているという実態がある、そういうことを知った方から「これを何とかしてもらえないか、もっと書面審査の範囲を広げるような事務改善をしてもらえないだろうか」という案件が出てきたわけです。管区局からあっせんをして、書面審査の範囲を広げるというふうに改善がされたわけですが、この事例1つをとってみても、いかにお役所というのは、行政サービスを受ける側の立場に立って物事を考えていないか、ということが証明されると思うのです。常に役所側の都合が優先しているわけです。こういうことが全ての事例に言えるのではないか、ですから、東北6県で年間6千件を越すような苦情が絶え間なく出てくるということになっているのだと思うのです。
2 オンブズマンに期待するもの
これは、結局(林屋さんがおっしゃいましたけれども)、まさにその公僕意識というものが、今のくというか明治以来の)行政マンに欠けているのでしょうけれども。公僕という言葉はやや古めかしい気もしますが、今の言葉で言えばサービス精神だと思うのです。公務員というのは全体の奉仕者であって住民にサービスする立場にある、この意識をまず持ってもらいたい。さらに法令主義、法令でこう決まっているから、国からの通達がこうなっているからそれに従うのだとか、あるいは前例がこうなっていてそれを改めることはできない、前例に従ってやりますというようなそういう前例主義、もしくは権威主義です。株屋さんがおっしゃったように、今まで住民個人が何回足を運んで頼んでも改められなかったことが、権威のあるオンブズマンの一言で改まってしまう、こういう公務員特有の権威主義、この辺を改めてもらわないと、いくらオンブズマン、行政相談委員の方々が一所懸命頑張っても、まさに賽の河原の石積みみたいなことを続けるわけで、本当にむなしいと思うのです。ですから、これからのオンブズマンの仕事は、個別の案件の救済や苦情を持っている方の問題を解決してあげるということももちろん大事ですが、もう一つ、それにとどまらないで行政そのものを、行政のやり方を変えさせていく、一つ一つの事例について、普遍的な改革に結び付けていく、そういう活動というのもこれから必要になるのではないかという気がします。