日本財団 図書館


IV [パネルディスカッション]第1ラウンド

 

市民の立場からみた行政苦情救済活動についての期待

 

大塚正震(河北新報社論説委員長)

074-1.gif

1 お役所仕事と行政苦情

 

私は、東北ブロックの行政苦情救済推進会議に関わるようになって今年で確か4年目になると思いますが、この仕事は大変やり甲斐があると思って、会議には欠かさず出席しているつもりです。この仕事に携わっていて毎回、会議のたびに思うのは、どうしてこんなに次から次へと行政苦情というものが絶え間なく出てくるのだろうかということです。総務庁の統計を見ましても、平成8年度で全国で22万件の行政相談があって、そのうち4万4千件がいわゆる苦情案件であるとされています。東北管区でも確か6千4百件くらいの苦情が1年間にあるということですが、東北500人の行政相談委員の方々が日夜苦労して活躍なさっていれば、こういう件数は年々減っていって、お役人の仕事のやり方が改まっていって然るべきではないかと思うのですが、どうもそうではない。この辺をもう1回考えてみる必要があるのではないだろうかという気がして、今日は、ちょっと原理主義者みたいなことを言いますが、このお役所仕事を何とかしなければいけないのではないかという話をさせていただきたいと思います。

 

私たちが直接扱った案件の中に(塚本長官官房審議官も紹介されましたが)、宮城県の身体障害者の援助事業の一つに身体補装具(義手とか義足とかあるいは補聴器とかそういった障害を持っている方々の補装具)を給付する事業というのがありますが、この給付を受けるためには、仙台の方は仙台にある県の審査機関である厚生相談所に行けばいいわけですが、宮城県内どこに住んでいても、障害を持った方が仙台まで来て、厚生相談所に行って専門のお医者さんの診察を受けて「確かにあなたにはこの補装具が必要です」というような判定を受けなければいけない、そういう直接判定を経ないと交付できないという決まりがあるようです。宮城県は、厚生省の通達か政令か分かりませんが、それを非常に忠実に守って、一部書面審査で済むものもありますが、大半は直接仙台まで来て判定を受けるという制度をずうっと続けてきていたわけです。ところが、東北の他県では必ずしもそういうことにこだわらない、書面審査で直接地元から所見を出すこ

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION