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IV [パネルディスカッション]第1ラウンド

 

宮城県県政オンブズマン制度の概要

 

林屋礼三(宮城県県政オンブズマン)

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1 制度導入の背景

宮城県では昨年の11月にオンブズマン制度を導入しましたが、それは、前の知事の汚職に始まっていろいろと不祥事が続いたので、県政刷新の一環としてオンブズマン制度を導入することにしたわけです。地方公共団体では、議会の条例でオンブズマン制度を設けているところ(例えば川崎市)があります。川崎市のオンブズマンは、行政監視機能を持っていて、オンブズマンの判断で独自にいろいろな調査をすることができることになっています。それに対して宮城県のオンブズマンは、なるべく早くこれをつくるという必要があったことから、条例ではなく県の内部的なルールである要綱でつくられています。そのために権限が制限されていて、監視機能はありません。持っているのは県民の権利救済機能と制度改善機能です。メインは県民の権利救済機能であって、県の行政行為によって県民が自分の権利や利益を侵害されたという場合に、オンブズマンに救済を求めてくるということになるわけです。

 

2 オンブズマン活動の実態、勧告、意見表明

そこで本日のテーマである行政苦情救済についてですが、オンブズマンのやり方について簡単な例を挙げて説明しますと、ある業種の許可を県に求めるというときに、県がその団体の非常勤の役員にも身元証明書を出せという扱いをしている場合があります。身元証明書というのは禁治産宣告あるいは破産宣告を受けたことがないということを証明するものです。そういう書類を添付して県に許可を求めろというのですが、それに対して県民の人は、「そんな身元証明書は東京でも大阪でも今は要求してない、したがって宮城県もそれをやめるように改正してくれ」ということを県に求めたのですが、県は「これは必要だ」といって聞いてくれない。そこで、「それならば、宮城県ではそういう身元証明書が必要だという扱いをしているということを文書で書いてくれ。そうすれば、それを持って非常勤役員の所へ行ってその証明書を貰うときにも楽になるから。そうでないと非常に困る」ということで県に交渉したのですが、県は「今までそういう文書を出した前例はない」といって聞いてくれない、そこで県民は、「そういう団体をつ

 

 

 

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