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2 広報宣伝活動

 

この行政相談週間には一方でまた、広報活動を集中的に展開いたします。この期間中はポスターやチラシあるいは新聞、ラジオ、テレビ等あらゆるメディアを使って総動員的なPR活動を行いますが、私どもは、やはり広報活動というのは常時活動こそ一番有効であるというように考えて、相談所開設の都度あるいは各地に出向いた巡回合同相談所の場合等をいろいろ利用して、市民の方々に理解してもらうように活動しています。お祭り広場などに臨時の相談所を開設してPRに努めているのも、そうした考えからです。

3 研修活動

 

次に委員の研修ですが、先程ありましたように、非常に難しい状況になってきましたから、やはりその資質の向上を常に図っていかなければなりません。そのために一番中心になるのが研修会です。この研修については、総務庁が全国から行政相談委員を集めて、年1回、「中央研究会」を開きます。また各ブロックにおいても、そのブロックの主体性の下に工夫を凝らして、「ブロック研修会」を開きます。この2本立てが研修の中心ですが、東北のブロック研修の場合は、全相協との共催による「合同研修会」の形で毎年開いています。これは、昭和60年に地元の委員の方々からの強い熱望で発足したもので、年々盛大となって今日、完全に地域に定着したものです。今年も去る7月にこの研修会が開かれました。全相協の鎌田会長の基調講演を皮切りにスタートして、2日間にわたり熱心な討議を行いました。最後に全体会議の形でこの集会のまとめが行われましたが、その一端を紹介しますと、「わが行政相談制度は、総務庁、行政相談委員、学識経験者による行政苦情救済推進会議、この三者が一体となって全国にネット網を張る苦情救済の一大システムである。そして、われわれ行政相談委員の一人一人は、この大きなシステムの第一線を担う者であるということを自覚し、研鑽に励もう」というのが、まず一つです。第2は、「厳しい行政環境に鑑みて、守りから攻めの行政相談に意識の転換を図っていこう」というものでした。

 

4 相談実績

 

最後に、平成8年度の宮城県内の相談実績について紹介しますと、処理総件数は6千342件、うち行政上特別の措置を必要とするのは約2割弱です。その94%が解決を見ています。今までに解決した問題の中には、国際間の問題が絡んだものもありました。八戸市の漁船員が東樺太沖で遭難をして、その後、遺体が択捉島に漂着しました。遺体引き取りのための交渉を約1年間にわたって行いましたが、市役所、漁協等の懸命の努力にもかかわらず解決しません。この問題が八戸の行政相談委員に持ち込まれて、青森行政監察事務所、東北管区行政監察局、そして本庁に上がり、外務省を通じて相手国と話をし、北方領土墓参団の一人ということで渡航が認められて、この難問題が解決したということがありました。いわゆる全国に張りめぐらされた苦情救済のためのネット網の威力というものを改めて強く感じた次第です。

 

 

 

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