先陣を切らせていただいて僣越ですが、議論の糸口として、今、本田先生からご紹介のあった3番目の制度類型に属する、私ども総務庁の行政相談制度について、そのポイントをご説明したいと思います。
1 行政相談制度の概要と特色
(1) 制度の概要
まず、制度の概要についてですが、総務庁の行政相談制度を一言で説明すれば、総 務庁(各省庁を監察し、行政の改善を推進する機関)及び行政相談委員(各市区町村の地域において信望のある方々に総務庁長官が委嘱)の2つの主体が行政に関する苦情救済制度や意見要望を受け付けて、関係機関等にあっせん。通知するという活動を行い、解決を促進すると同時に、その一つの流れ、結末あるいは副産物として行政運営そのものの改善を推進していくというのが総務庁の行政相談、及び行政相談委員を含めた行政相談制度の機能であると見ています。
それをどういう形でやっているかについては先程、サラムオンブズマンの講演に対する参加者の方からの質疑の中でもすでに紹介をしていただきましたとおり、総務庁の出先機関と行政相談委員がこれを受け付けているということです。
(2) 特色
では、こうしたものが他の制度との関係でどのような特色を有するかといえば、私は以下の5つにまとめられると思っています。
?@ 先ず第1に、先程、本日先生からご紹介もあったとおり、制度の位置づけからみると、各省庁を監察する立場にある私ども総務庁と民間の、ある意味で一人の市民である行政相談委員が活動の主体になっているので、公正・中立な立場から苦情解決を推進することができます。そういう点から見ていただきますと、先程のお二人の外国のオンブズマンからお話がありました制度と比べても、当庁の行政相談制度がオンブズマン的機能を発揮する仕組みになっているということは、ご理解いただけると思います。