日本財団 図書館


11 オンブズマンの「監視の目」

オンブズマンの監視の目は、権力の側、統治する側に対して脅威あるいは妨害になるというものではなくて、適切かつ公正で責任のある行政遂行の動機付けを与えることになると思いますし、そのことによって、民主主義がより公正にかつ責任ある形で機能するように促進するものです。行政の遂行責任者に対して、オンブズマンが信頼性、独立性、柔軟性をもって監視の目(lamp of scrutiny)を行使し、偏見や自己の利益にとらわれずに公平に事実を調査するということになると思います。オンブズマンがこのように行政側、政府側、人々に対して公正に再調査をしますので、請求のあった件に対して行政政策が法的にも公正、適切に偏見なく行われているということであれば、オンブズマンはそのように報告します。この監視の目は、政府側、国民の双方にとって非常に公正に機能するという点で、公正さが保たれていると信じています。したがって、もし「よい政府」、よりよく公正に機能している政府であれば、監視の目を恐れる必要はないと信じております。

 

[参加者からの質問]

・一つは、オンブズマンの権限の問題ですが、お話の中にありました、例えば、権限を盾に取らないとか救済策に焦点を当てるという意味では、わが国の行政相談委員制度も十分機能を果たすと思うのですが、一般論として、オンブズマンというものは、どのような機関からどのような方法で権限を付与されるべきなのか、ということをお伺いしたいと思います。

・ もう一つは、広報活動について、ニュージーランドで何か具体的にやっている方策があれば、併せてお聞きしたいと思います。

 

[回答]

・ニュージーランドのオンブズマンは、もちろん国会から独立しています。そして、紛争を解決するときには、もちろん事実関係を認識して、どこがどのように悪いのかあるいはいいのか、そして、どういったことがなされていて、どのように修正されなければならないのかといったことを強制力のない形での勧告でなされます。そして、オンブズマンは、オンブズマンオフィス自体に信頼性がありますので、そこでの勧告を皆様に受け入れてもらうということになります。それがニュージーランドでは、的確に機能していると私は信じています。

・広報活動については、私どもはニュースレターという形で広報誌を出しておりますが、様々にとられた勧告も、それに載っています。また、ファンクションといって、ちょっとパニッシュメントするというか、皆さんに制限をする、こういったことはしてはいけない、例えば罰金を取るとかいった形での問題が起こった時には、ニュースレターに載せます。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION