てはめることができると考えています。現在、全世界86か国にオンブズマンの組織があって、その中には東ヨーロッパの旧共産圏の国々も含まれています。ニュージーランドがオンブズマンの各国への拡大に寄与したという場合ももちろんあると思っていますが、ニュージーランド型の古典的といわれるモデルは、皆様の国あるいはそれぞれの国に適応するようように形を変えて導入されていると思っています。
6 オンブズマンの権限
ニュージーランドでは、この概念を導入する過程で、古典的なオンブズマン制度の特徴というものを非常に適切に変化させて、ニュージーランドの国政に合ったように融合させ、そして、それをより高いレベルへと発展させて、私どもの国に適応させました。その結果としてニュージーランドのモデルは、他の国々が自分たちのオンブズマンシップと比較対照するのによく用いられるモデルとなっています。このモデルは、開かれた官僚制と政治を持つわがニュージーランドに非常によく適合していて、民主政治権力の悪用に対するチェック能力を非常に高め、その働きを有効なすのにするという状況になっています。ニュージーランドでは、オンブズマンの存在そのものが行政機関の不正不当行為を抑制するという重要な働き・要素を含んでいます。具体的には、オンブズマンが行政府の官僚制の活動に光を当て、焦点を当て、その内容を奥深くまで調べるという権限が、オンブズマンの権限の源となっています。
オンブズマンの職務又は職責は、統治者(トップの管理者)やその指揮を受ける官吏の行為又は政策決定に監視の光を当てることと思っています。統治される者(つまり国民側)の統治者への服従の度合いが高ければ高いほど、汚職や不正行為がはびこるわけで、服従の度合いが高い場合には、不正行為が表面化されずにそのまま地下に沈んでしまい、非常によくない状況となっていきます。これは、統治される者にとって望ましい状況ではありません。もちろん、トップの管理者にとってもこの状況は望ましい状態ではなく、最終的には、統治者やその指示を受ける官吏又はわれわれ国民にとっても望ましい状態ではありません。オンブズマンの再調査の機能又は職能は、このようなことを未然に防ぐという意味で非常にきわめて重要なものです。オンブズマンの再調査機能が有効に機能することによって、行政側と市民双方に、今行われていることく行政政策の決定とか)が法律に基づいてなされていて、公正かつ合理的に、しかもそれが正確に実行されているという確信を与えることになります。
7 インフォーマルな処理
オンブズマンがその職権を行使する場合に権限を盾に取ることなく、説得に際してインフォーマルな(形式的ではない)やり方を取り入れる度合いが高ければ高いほど、申立てのあった行政上の行為の是正をすることが容易になり、官吏側にも非常によい効果をもたらします。もちろん是非の指摘をする必要はなく、むしろ救済策に焦点を当てるということになります。このオンブズマンの手続は、従来型の対審構造の司法手続よりもずっとソフトで簡略化されたプロセスということになります。