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(11) 裁判所その他の機関の権限が及ばない範囲

令第29条によって、裁判所及びその他の機関は、以下の項目に関する権限を持ち ません。

?@ この大統領命令に基づいて行われた行為もしくは行われようとする行為又は発動された命令、その他行われもしくは行われようとするすべてのことの有効性を問題とすること。

?A オンブズマンの手続、オンブズマンの行いもしくは行おうとする行為又はオンブズマンの発議に係わる行為について、差止、執行停止命令又は暫定的停止命令をかけること。

 

(12) 優先適用規定

さらに令第37条では、この大統領命令の条項は、現行の他のいかなる法律の規定にかかわらず、最も優先されるべきものであると規定されています。

 

(13) 免責

令第30条には、免責について規定されています。そこにはオンブズマンやそのスタッフ、監察チーム、顧問、常任委員会のメンバーその他のオンブズマンから権限を与えられた者は、誠実にかつこの大統領命令に基づいて任務の遂行をしたのであれば告訴、告発又はその他の法定手続には問われないと規定されています。

令第32条には、オンブズマンの決定やその命令によって権利を侵害されたと考え る者は、その決定や命令を受けた日から30日以内に大統領に対して不服申立てをすることができる、また、大統領はその旨を受けて適切な措置命令を下すことができると規定されています。

 

(14) 勧告の実効性

以上のことから、国民の苦情の救済に対するオンブズマンの権限とその職務は、非 常に大きいことがお分かりいただけたと思います。オンブズマンの調査結果と勧告は、いつもその責任者に受諾されることになっています。もし、その勧告を受けた者が受諾できないとする場合には、私すなわちオンブズマンを訪ねて、その遂行が困難な理由を説明すればよいということになります。もし、その説明が認められて、理由が十分であると考えられる場合には、勧告が修正される場合もあります。しかし、その説明された理由が根拠のないものであったり、十分でない場合には、オンブズマンの勧告はそのまま実行されなければなりません。もしも、その勧告を受けた部署の責任者がオンブズマンの勧告を最後まで無視するということであれば、オンブズマンは、その旨を大統領に報告することができます。しかし、これまで大統領にまで報告が行ったという例はありません。オンブズマンの勧告を受け取る責任者は政府の最高レベルにいるので、そういった職にある人々は大統領の前に呼び出されたくはないので、そういった件はこれまでに発生したことはありません。

 

 

 

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