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[特別講演]?T

 

パキスタンにおけるオンブズマンの現状と課題

 

アブドゥルロンャクルル・サラム

[パキスタン・オンブズマン国際パキスタンオンブズマン協会理事]

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1 は じ め に

まず初めに、このフォーラムに私を招いて下さいました社団法人全国行政相談委員連合協議会の鎌田理次郎会長と総務庁長官官房審議官塚本寿雄氏に御礼を申し上げます。鎌田先生とは、 1995年の「オーストラリア・ニュージーランド・太平洋地域オンブズマン会議」の時に香港で初めてお目にかかりました。その時、先生の豊富な学識と品位に感銘を受けました。また、総務庁長官官房審議官の塚本氏には、1996年4月のイスラマバードにおいて私がアジア・オンブズマン会議を開催した折りにご参加いただき、アジア・オンプズマン協会結成に多大な貢献をしていただきました。本当に感謝に耐えません。そして、このフォーラムの主催者の方々及び日本の皆様からの私と私の国に対する暖かい心配りに関して御礼と感謝を申し上げたいと思います。また、このフォーラムへの参加は大変光栄なことであって、感謝の念でいっぱいです。

 

2 パキスタンのオンブズマン制度の概要

 

(1) オンブズマン制度の根拠

パキスタンのオンブズマン制度は、1983年の大統領命令(以下「令」といいま す。)の第1号によって設立され、憲法によって保障された機関となっています。パキスタンのオンブズマンは、令第3条に基づき、総理大臣の助言によって大統領が任命します。任期は、令第4条によって4年となっています。パキスタンでの最初のオンブズマンは、パキスタンで最も人口の多いパンジャブ州の元最高裁長官でした。その後は、現職又は退官した最高裁判所の判事が続いております。オンブズマンの任務は、連邦政府や各省庁の行政において過誤行政(つまり不正行為など)がないように見守り、過誤行政があった場合には、それを是正する機能を持っています。オンブズマンの地位は、行政府から独立しています。

 

(2) 調査権の及ばない範囲

オンブズマンは、令第9条によって、不当に不利益又は損害を蒙った国民からの苦

 

 

 

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