☆神立里山保全プロジェクトの紹介
神立里山保全プロジェクト世話人 氏家 巧
八尾市神立(こうだち)地区は、大阪と奈良を区切り自然公園に指定されている信貴・生駒山系内の高安山(488m)の山麓にあって、北は、東大阪市。南は、柏原市にはさまれてはいるが、麓まで緑に覆われた景観豊かな地城である。
南北に連なる山頂沿いにはしり、大阪と奈良を分けるようなかだちになっている信貴・生駒スカイラインの十三(じゅうさん)峠(古代から大阪〜奈良を結ぶ山越えの道)から自動車道をわずかに下ると、西方向に大阪平野・淡路島・四国を見通せる大阪府立水呑園地があり、その向かいが第4フィールドとしてぃる約700坪の花木園。さらに下ると弘法大師で有名な水呑地蔵(318m)、その下に隣接して第1フィールドにしている約3000坪の元「ツバキ園」。八尾市の管理委託地で、神立園地として遊歩道や階段・休憩所が設けられている。さらに下に続いて約5000坪の第2フィールド。ここは、高低差が大きく、崖に近い場所もあるツバキ園と薪炭林。共に、標高約250〜350mに位置している西向きの急傾斜の多いフィールドです。ただ、第3フィールド(約2000坪。花木園)だけが標高約150m程のところにあり、もっとも平地に近いフィールドです。第一フィールド以外は、すべて民有地で、地主の方から行政に保全活動を受け入れたいとの申し出でがあり、常に地主と連絡を取りながら里山保全活動を行っている。
付近には、大阪府の指定を受けている「愛宕(あたご)塚古墳」や、明治時代から有名な「高安古墳群」等があり、難波(なにわ)と奈良の都を繋ぐ街道や伊勢参りの街道として古代から近代にかけて栄えた。山麓の灌漑用の池には、ニッポンバラタナゴが生息していたりして、史跡や自然に恵まれた地区である。又、徳川末期頃より伝統的に花卉栽培が行われ、大阪・奈良・神戸・京都、近年では東京へと販路は広く、歴史的な地場産業として栄え比較的高収入を得てきたことから都市化の波を殆ど受けず、のどかな田園風景が一帯に残されてきた。
進取的な土地柄で「4Hクラブ」が組織されていて、当時、大阪府立大学の重松敏則先生を招いて開かれた勉強会が「神立里山保全プロジェクト」設立の発端になった。
平成5年10月20日の主要新聞等に掲載された大阪自然環境保全協会主催の講習会に多くの応募者があったのを、25人に絞り重松先生、大学生のスタッフ以下35名で平成5年12月3日〜5日にかけて、座学と実習の講座が開かれた。地元からも石組み、下草刈り等の講師を招いたのでした。その後、6月には英国から講師を招き「日英合同・里山田園保全ワーキングホリディプレシンポジュウム」や、8月には英国のBTCVより5人の同志を招き10日間の「日英合同・里山田園保全ワーキングホリディ」等、重松先生を中心にして活動してきた。
平成7年からは、高安山の自然と史跡を守り、次世代に引き継ごうと運動を進めている「愛宕トラスト市民協議会」と共催の形をとっている。
活動内容は、主にササ・ツル類で覆われている「花木園」のツル切り・林床整備であるが、園内を通るハイキング道の階段作りや路肩の補強等がある。里山に興味を持ってもらい、里山保全活動に長く参加してもらうためにも山菜取り・かご作り・木工細工・野鳥観