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低レベルの教育しか受けていない米国の若者は、ドイツの同種の若者より多く失業しているだけでなく、このような若者が若者全体の中で大きなパーセントを占めていることがわかる。OECD研究によると、米国の20歳から24歳までの若者の16.6%が中等教育を修了しておらず、これはドイツの同種の若者よりずっと大きな数値を示している。さらに、米国の20歳から24歳までの若者のうち、卒業と同時に採用されたのは36%にすぎない。すなわち、米国の若者は中等教育の修了証を持っていないと、ドイツと比べて労働市場で需要がなく、また若年人口に占めるその割合はドイツより多いということである。

 

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4. アメリカとドイツの教育制度

アメリカの若者を労働力として統合するのは、ドイツよりはるかに困難であることから、両国の教育制度について検討することは、失業率の格差の原因を多少とも解明することになるかもしれない。米国の高校のカリキュラムは、大まかに大学進学準備教育、職業教育、一般教育(これを教育省は“市民、家族のメンバー、労働者に共通する活動に備える教育プログラム”と定義する)の3つのプログラムに分かれる。この3種類は全国の高校でほぼ共通している。1982年と1990年において、17歳の学生が3つのプログラムを受講する比率は図表5-3に示されるように、大学進学を希望する学生の数が増加し、ほかのプログラムでは減少していることがわかる。

 

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一般教育を受ける高校生の割合が減っているにもかかわらず、アメリカの若者の1/3以上はいまだにこのコースを選択している。この場合、労働市場の観点からすると、一般教育のカリキュラムが職業訓練にもならず、また理想的な進学教育としても成果をあげられないところに問題がある。むろん学生は、中等後教育の成果を身につけて就職あるいは進学することはできるが、

 

 

 

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