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れていないのかも知れない。

中途採用者は職業人としての自己確立と職業能力の錬磨をある程度果たしており、その結果採用する企業にとって、訓練時間の節約になる。小規模企業の方が中途採用者をよく採っていることは上に見たとおりである。長期の訓練をするだけの余裕に乏しい小規模企業は、中途採用者を多くとることでコストの節減を行っているのである。

 

第3節 人事労務等の特徴と若年者の定着

 

1. 職場の特性

上で見たように、中途採用者の職業意識や職業能力が新卒よりも優れているのは、経験と訓練の賜物である。経験と訓練は頻繁な転職を行うと蓄積されにくい。定着が必要な所以である。そこで、企業は定着促進策を採らねばならない。本節では、企業の人事制度と職場風土を分析し、若年者の定着との関連を探る。

職場風土として、若年者のコミュニケーションの機会がどれほどあるかをみるために、次の5つの設問を行った。図表3-21に集計結果が集約されている。

それによれば、「職場の仲間同士のアフター・ファイブの付き合い」(64.2%)はほとんどの企業で行われている。「先輩が後輩に仕事をよく教える」も半数近い企業で行われている。しかし、「異なる年代間」の付き合いとなると3割台に低下する。サークル活動や従業員組織での若者の活動となると1割前後に落ちてしまう。要するに職場の中でのコミュニケーションはかなり活発に行われているが、それを超えて企業レベルになると若年層の参加する機会はあまり多くないと

 

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