言えそうだ。
企業規模別にみてもそれほど大きな差異はなく、「異なる年代間」での付き合いが大企業にやや多いくらいである。従業員組織やサークル活動は組織親和的な大企業の若者でもあまり活発ではない。
2. 企業の教育訓練
次に、会社のフォーマルな状況を見てみよう。定着と関係の深そうな教育訓練、人事制度、福利厚生の3つを調べた。まず教育訓練の状況は、図表3-22に示されている。
実施率をみると、回答企業全体では、新入社員教育と社外セミナー等への派遣が最も多く、7割を超えている。次いで、職能教育、管理職研修、OJT、自己啓発のための費用援助が高く、4〜6割程度である。残りは何れも少ないものの、その中では「対象を限定した高度な専門的教育」31.0%に達しているのが目を引く。国内・国外の留学制度、夜間大学・大学院への配慮、中高年研修、職種転換研修など技能・技術の幅や深さを広げる教育訓練は少数に限られている。比較的職業生涯の入り口に近い時期の研修に限定されていることが窺える。その意味では、少なくとも若年者には広く教育の機会が与えられているとは言える。しかし、その深さや幅はあまり大きくない。
規模別にみると、際だった差がみられる。規模の大小と教育訓練の幅・深さとは大きな関連がある。最も広く行われている新入社員教育にしても、1000人以上規模では98.6%とほとんど全社で行われている。残る2社は無回答なだけであり、実際は100%であろう。他方、99人以下規模では、66.4%しか行われておらず、無回答の10.5%を除いても尚、約4分の1は実施していないのである。職業訓練の基幹プログラムのひとつであるOJTも、1000人以上は90.1%の実施であるのに対して、99人以下では23.8%に過ぎない。
とはいえ、社外セミナーへの派遣を初め、直接的に労働力の育成に関わる部分には小規模企業もかなりの実施率を見せている。「対象を限定した高度な専門的教育」も1000人以上規模が36.9%であるのに対して99人以下規模も20.3%と健闘しており、新入社員教育ほどの開き(22.2%)はない。意外にも、「実務以外の教養的な研修」では、留学制度や退職準備教育よりもずっと実施率が高く、大企業との差は小さい。
さらに「特に力を入れて実施している」研修は何かを訊ねた(3つまで複数回答)。結果は、どの規模にも共通して、4つの実務研修に回答が集中した。その4つとは、新入社員教育(61.2%)、職能教育(40.7%)、管理職研修(38.7%)、およびOJT(39.1%)である。「社外セミナー等への派遣」が22.5%で続いている。国内・海外留学、中高年向け、教育目的の出向、退職準備教育等は何れも全体で10社に満たず、予想外に少なかった。直接実務に関わらない研修にまで力を入れる企業はないということである。