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企業は若年者に対して、職業能力の不足をもっとも強く感じており、次いで職業人としての自己確立が不足だとしている。組織人としての柔軟性、あるいは組織親和性は比較的高いとみているのである。

 

4. 中途採用者との比較

 

上の分析でも若年者は要するに、さまざまな意味で未熟だと企業は感じていた。では、若年者といってもすでに労働体験を積んだ中途採用者についてはどうであろうか。10項目の選択肢(複数回答、いくつでも選択)を掲げた。その設問の結果を図表3-20に示したのでこれをもとに少し考察してみよう。

もっとも高い回答率は「すぐ仕事ができる」の41.2%、「社会的マナーができている」の32.4%、「目的意識がはっきりしている」の26.1%であった。次いで多かったのが「勤務態度が真面目だ」(18.6%)、「職場にすぐ溶け込む」(16.9%)、「バランスある判断・行動がとれている」(12.4%)等であった。

回答結果を若年者の行動特性の場合と同様に、職業人としての自己確立、職業能力、組織人としての柔軟性の3つに分けてみた。

第1領域 職業人としての自己確立(4項目)

「勤務態度が真面目だ」、「バランスある判断・行動がとれている」

「目的意識がはっきりしている」、「欠勤が少ない」

第2領域 職業能力(4項目)

「すぐ仕事ができる」、「新しい仕事の理解が早く、センスがよい」

「独創的である」、「社会的マナーができている」

第3領域 組織人としての柔軟性(1項目)

「職場にすぐ溶けこむ」

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この回答結果を見ると、企業は中途採用者の職業能力の高さに期待していることが分かる。職業人としての自己確立は職業能力の裏付けとして、「目的意識がはっきりしている」など当然、期待されている。組織人としての柔軟性は選択肢が少なかったため、確かめられないが、唯一の項目である「職場にすぐ溶けこむ」がそれほど高い回答率ではないことを見ると、さほど期待さ

 

 

 

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