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企業規模別にみると、「大卒文系」は300人以上の企業で多く、300〜999人では53.7%、1000人以上では58.7%である。また、「女子」も1000人以上規模でとくに低い(32.6%)。「営業職」も1000人以上規模では21.7%とやや高い。大企業での採用の変化が労働市場に大きな影響を与えていることがうかがえる。他方、「専門技術職」、「技能職」はどの規模でも比率が低い。専門的技能を持つ者の需給バランスが供給不足になっていることがわかる。

次に、「採用しにくかった」と「まちまち」と答えた企業、合計363社について「とくに採用しにくかった」グループは何かをきいた(図表省略)。もっとも高い回答率は「大卒理系」(33.3%)、次いで「専門技術職」の31.7%であった。

その他は差があるが、「男子」22.6%、「大卒文系」19.0%、「技能職」15.4%が多い。「大卒文系」は採用しやすい項目にも上がっていたが、恐らく業種や規模によってまさにまちまちなのであろう。

また、「採用しにくかった」と「まちまち」の企業のうちで、「比較的採用しやすかった」グループも上げてもらっている。363社のうちでもっとも回答率の高かったのは、「女子」の20.7%、「事務職」20.4%、「高卒」15.4%が上位を占めた。事務職は女子と重なる部分が多いであろうから、女子の就職難がここにも反映されていると言えよう。

 

3. 若年者の採用の見通し

3年後の採用状況の変化については、「今より採用しにくくなる」がもっとも多く、46.2%、「今と変わらない」と「何とも言えない」が同率で23.0%、「今より採用しやすくなる」は5.5%しかなかった。残りは無回答(2.2%)である。

企業規模別にみると、大企業と中小企業とで大きな違いが出た。99人以下の企業では、「今と変わらない」がもっとも多く、32.2%を占めたのに対して、1000人以上の企業では、「今よりも採用しにくくなる」が最多で、61.0%を占めた。大企業は少子化の影響が労働市場全体に現れるのを念頭においているのであろう。他方、小規模企業は人手不足に慣れてきた経験から、変わらないとの判断をしたものとみえる。

それだけではない。99人以下の企業では「今より採用しやすくなる」と答えた比率が13.3%と断然高い。景気の低迷による労働市場の緩和が続くとみているのであろうか。

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