「就職した会社には長く勤めるべきだ」という考えが強くみられる。
3. インターンシップ制についての考え
在学中に、企業や公的機関、各種施設などで「仕事や職業について体験研修」することをどう思うかについてきいた結果が図2-26である。その結果は「理由は様々であるが、参加したい」という意見が「参加したくない、関心がない」という意見を大きく上回っており、専門学校生には前向きに受け止められているというのが大きな特徴といえよう。具体的にみると、「現場の実情を知るよい機会なので、参加したい」が56%と最も多く、「面倒くさいので、やりたくない」が20%となっている。
性別との差異でみると、男子では「面倒くさいので、やりたくない」「休み期間は大いに遊びたいので、関心がない」が多く、女子では「現場の実情を知るよい機会なので、参加したい」「就職活動で有利となるので、参加したい」が多くなっている。
専門分野の相違によってとらえると、社会福祉系では「現場の実情を知るよい機会なので、参加したい」「就職活動で有利となるので、参加したい」が多く、簿記・会計系では「自分自身で好きなことをやりたいので、関心がない」が多くなっている。
4. 今風の仕事意識を持つ専門学校生
専門学校生は自己のセールスポイントとして、明るい性格、やる気、まじめさといった性格特性をあげている。前節の結果でもみたとおり、専門学校で勉強した知識や資格検定をあげているものはわずかである。確かに、2年間という短い期間では自信が持てないかもしれないが、それでもなお、自信を表明するのが若者に許された特権なのではないだろうか。やや、消極的すぎはしないか。彼らがあげているものをみると、一昔も二昔も前にタイムスリップしたかのような錯覚に捕らわれてしまう。
従って、彼らは「人付き合いや礼儀作法・言葉づかい」では職業人としてやっていく自信はあるが、「言葉や文字を介しての表現や専門的知識・技術」には自信がないということになる。しかしながら、仕事を選ぶなら「仕事の内容」を重視したいという者が多いのも見逃せない事実である。非常にアンバランスな状態であるが、ただ一つ救いは彼らの反応には一貫性があるということである。
仕事との関わり方からいえば、仕事に必要なものは自費ででも勉強すべきという反面、仕事のために個人の生活が犠牲になるのはいやであり、会社関係者との付き合いも限定的にしたく、ましてや仕事の中に生き甲斐を求めるなどということは考えられないと言う。そこでは、仕事は生活の手段として割り切り、できるだけゆとりのある生活をしたいということになる。会社への忠誠心や長期勤続意識はあまりなく、実績や実力で評価されたいと考える。そこには、戦後の荒廃から高度経済成長へと突き進んだ時代の仕事観といったものは影を潜め、いわゆるアメリカ的というか、個人主義的というか、最近盛んに企業で導入が検討されている能力主義管理に相通じるものが彼らの意識の中にうかがわれる。
(宮崎利行)