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第1章 勤労意識の変化とアルバイト

 

はじめに

本章では、若者の勤労・キャリア意識および価値意識について検討する。ここでの若者は10代の後半から20代の年齢層である。いわゆる「定職に就いていない若者」に焦点をあて、その職業キャリアに関する志向を明らかにしたいという目的からアルバイト求人誌の講読者を対象としてアンケート調査を行った。

若年者の失業率が上がりつつある。不況のための就職難という側面があることは否定できないにしろ、近年の若者の職業意識における変化にその一因を求めることもできる。大人社会におけるアイデンティティとしての「職業人」という観念が、若者にとってはかつてほどの意味を持たなくなってしまっているのかもしれない。「豊かな社会」に育った若者の職業意識を探ることで、今後の労働市場がより柔構造化してゆく方向性を持つのかという問題を考えてみたい。若者を「モラトリアム世代」と位置づけ、先進工業社会の社会的性格の一タイプとみる見解もあるが、現代日本の若者の職業的自立とはいかなる形で図られるのか、あるいは職業そのものが生活価値の中でその意味を低下させていくのか、後出の「専門学校生調査」と「企業調査」とあわせて検討の課題としたい。

なお、こうした目的から、調査結果をアルバイト労働の主要な担い手である「学生アルバイター」と、いわゆる「フリーアルバイター」(在学しておらず、定職に就いていない)の対比という観点から検討することにする。

 

第1節 アルバイト求職者の属性とグループ分け

 

1. 年齢と性別

集計対象者1015人の性別構成は、男が34.2%、女が65.8%であった。図表1-1は、性別の年齢構成を示している。女子の方が年齢が低い者の数が多いものの、男女ともに20歳前後がもっとも多い年齢層である。平均年齢を見ると、男子が21.7歳、女子が20.8歳である。

 

2. 在学状況

在学の有無を尋ねたところ、「大学生」と「学校には通っていない」がほぼ同じ割合で、この二つで75%にのぼる。ほかに「専門学校」と「短大」に在学する者が8%づつ、「高校生」も4%いた。図表1-2は性別に在学状況を表している、男子で在学していないが多く、女子では短大生

 

 

 

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