アルバイトなしでは、国の経済が維持できなくなっていることは、アルバイトのもつ最も大きな意味だろう。スーパーもコンビニエンスストアーもファーストフード店も訪問配達・郵便配達もアルバイト学生・生徒で賄われている。
アルバイトなしで営業ができないといわれた1980年代では、アルバイトは学生や生徒にどのような影響を及ぼしているかが注目されるようになった。
昭和59年版アルバイト白書によれば、「高校生の期待するアルバイト効果」の調査を行っている。この時点では、アルバイトは非行に走りやすい場所を提供しているとか、良くない遊びを覚えるのでは、という批判も出され、一種の社会問題の様相を呈していた。
その当時の調査結果は、その質問自体を含めて興味ある事実を提供してくれる。図表2はこの結果を表わしたものである。
図表2はアメリカの高校生のものも含んでいて、日米比較の形をとっている。まず、質問のなかでは、伝統的な「勤労観」に基づく「働く価値」が目立っている。このほか「勉強のさまたげになる」「生活が不摂生になる」「金づかいが荒くなる」「良くない遊びを覚える」「体をこわしたり危険なめにあう」「悪い友だちができる」などのバイト否定価値を示す項目も多い。
80年代のバイトに関する「世論」をみる思いがする。
しかし、なんといっても、「人との接し方」「社会勉強」「働くことの大切さ」「お金のありがたみ」など肯定的な評価が得られていることが多い。高校生たちのバイト肯定観が示されていることとして、「悪い遊び」「悪い友だち」「良くない遊び」などが、「あまりない」と評価されていることが判る。
それにしても、「社会勉強」「人との接し方」など、日本の高校生は80年代には社会と隔絶した生活をしていたと思える。アメリカの高校生と比較してみると、特に日本の「社会との隔絶」「特殊な高校生だけの世界」にいること、学校に囲い込まれた日本の高校生の姿がみえるようで