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のの構造を目のあたりにしたことは、確かに偉業であった。その他、ともにそれを成し遂げた班員や他のクラスメートとの交流、ふだんはなかなか機会のない先生方との交流、ものの考え方など、挙げればいろいろある。この実習は、まだまだ先の長い医者への道、ひいては人生の中での大きなステップであったことは間違いないと思う。

 

解剖実習を終えて

 

伊原 浩史

 

昨年の十一月十二日に始まった系統解剖実習が終了した。実習を終えた今、様々なことが思い出される。白衣に身を包み初めて実習室に足を踏み入れたとき正直なところ「やりたくない」という気持ちが強かった。死体とはいえ、人間の体にメスを入れ、解剖することが躊躇われたのと同時に、自分の体力に自信がなく、実習をやりおおせるかどうかを危ぶんでいたためである。そんな気持ちを胸に仕方なしに実習台を前にしたように思う。保管室から実習台へご遺体を運び、パックのファスナーを開けてこれから自分が解剖するご遺体のお顔を初めて拝見したとき、その気持ちは最高潮に達したように思われる。渡された実習プリントには初日に学習すべき項目がいくつも挙げられていたが、とても観察学習ができるような心境ではなく何も考えずただ機械的に項目を消化していたように思う。

そのような始まり方をした私の解剖実習だ

 

 

 

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