解剖学実習を終えて
笹田 寛子
解剖学実習の初日は、緊張と期待と不安が入り混じった気持ちでした。しかし、ご遺体と初めて対面しました時、安らかに眠っておられるお顔を拝見して、この方々に自分はすべてをまかされているのだということを自覚し、気の引き締まる思いでした。
実習室に「献体はリボンのない贈り物」という貼紙があるのですが、実習中にそれを目にする度に、この方々は見ず知らずの私達に自らの体でもって崇高な贈り物をしてくださったのだから、それに応える為にも一生懸命そのお体で勉強させて頂こう」という思いで一杯になりました。
今年度の解剖学実習も無事終わりましたが、私達は引き続き、必要とされる医師に近づけるよう、勉学に勤しみ、献体して下さった方々の善意にお応えできるよう努力いたします。
最後になりましたが、医学教育に深いご理解を賜わりましたご家族の方々に厚くお礼を申し上げますと共に、献体して下さいました方々のご冥福を心よりお祈り申しあげます。
平成九年七月二日