昨年四月末からの六ヶ月間の実習を思い出してみると、実習開始前と終了後に皆で黙薦を捧げ、感謝の気持ちをもって実習に取り組んでいました。六ヶ月という短い期間であったために、実習はかなりハードなものでした。だからといって御遺体に失礼のないよう、学べるものは全て学ぼうという気持ちでいい加減にしたり、手を抜いたりすることなく一生懸命に取り組みました。
毎日毎日御遺体と向かいあっていると、特別に考えなくても「生」と「死」について考えていました。体験したことのない「死」というものについて考えてみても、いろいろと頭の中で展開はするものの、結論がでることはありませんでした。唯一結論となりうるものとしては死にたくないということでした。
死後に人間はどうなるのかは全くわかりませんが、生きたいという願望だけが強く残りました。私たちは日々生きるとはどういうことかを考えているわけではありません。死と向かいあったときにのみ考えることだと思います。今回の実習は私たちに生きるということはどういうことかを考えさせてくれました。はっきりと結論がでたわけではありませんが、命の尊さはしっかりと認識できたと思います。
私たち医学生は将来人の命をまもる立場にたたされます。それがどういうことなのかはよくわかりません。しかし、この実習が、何かを教えてくれたような気がします。二十一世紀には高齢化社会が進み、医師が死に直面した高齢の患者をみることが増えてくること