奪っていった。残っているのはこの体しかない。自分のような半身不随の者をなくすための研究に役立ててほしい』と書かれていました。それを読みながら、深い思いに打たれました。と同時に自分には重い使命がかせられていることを感じます。献体をして下さった方々は、現実を越えて真に大切なものを与え続けて下さっているのだと思います。それを受けとめる強さを養ってゆきたいと思います。
解剖学実習を終えて
小日向 聡行
やっと終わった、というのが実習を終了した今の実感である。実習が始まる以前に先輩などからその大変さについてさんざん聞かされていて十分な心構えで臨んだつもりでいたが、実際はそれ以上だった。大学に入学して以来最も忙しく、辛い日々だった。連日の予習は深夜にまで及び、多くの睡眠時間が削られた。もちろんのんびり部屋でくつろぐ時間などなくなった。実習時間内に終わらなかったノルマを済ませるために休日を費やしたこともあった。生活のすべてが解剖を中心に尋常でない速さで回っている感じだった。
しかし、同時に充実した日々でもあった。書物を用いて勉強し、理解した上で実際の解剖実習にあたるよう心掛けた。が、十分な予習をもって臨んでも、御遺体からはさらなる疑問の提示があり、その複雑さには驚くばか