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解剖実習感想文

 

塩田 睦

解剖実習が終わり、今日、御遺体の火葬に行く。今はまた、解剖実習を振り返ってみるゆとりはない。高い出に頑張って登った時のような、達成感と解放感を感じている。

解剖実習の前日、私はとても緊張していた。白衣、教科書、名札等、必要な物を一つ一つ袋に入れながら、翌日から自分が解剖実習をしている様子を思い描こうとしてみたが、なかなかイメージが浮かばなかった。

そして初日。あっけないほど普通の講義の後、実習室に入った。台が部屋の奥まで並んでいて、ビニールに包まれた長いものが置いてあった。御遺体である。生きていない人体に、怖さを感じた。おそるおそる解剖を始めたものの、何が何だかわからず、先生が見本として解剖している様子を、神技のようだ、とあっけにとられて見ていた。解剖実習の最初の一週間は、夜、眠ろうとしても、間違ってメスを入れてしまった部分や、実習書どおりに観察できなかった部分のことなどが頭に浮かんで、あまり眠れない日々が続いた。

四月の中ばからレポートの提出が始まった。レポートの提出が終わる五月末までの約一ヵ月間、文字通り寝食を忘れるほど忙しかった。自分なりに精一杯スケッチし、同定しようとは思ってみるものの、提出締切時間が近づくと焦ってきて、よくわからない部分

 

 

 

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