日本財団 図書館


(3) 死体の解剖の要件の緩和

死亡した者が献体の意思を書面により表示している場合において、「学校長が、死亡した者が献体の意思を書面により表示している旨を遺族に告知し、遺族がその解剖を拒まない場合」には、その死体の正常解剖を行おうとする者は、死体解剖保存法(昭和24年法律第204号)第7条本文の規定にかかわらず、遺族の承諾を受けることを要しないこととしたこと(法第4条)。

また、「死亡した者に遺族がない場合」にも、同様としたこと。

なお、ここに「学校長」とは、学長のほか、医学部長及び歯学部長を含むものであること。

(4) 引取者による死体の引渡し

死亡した者が献体の意思を書面により表示している場合において、「当該死亡した者に遺族がない場合」には「その死体の引取者は、学校長から医学又は歯学の教育のため引渡しの要求があったときは、当該死体を引き渡すことができる」こととしたこと(法第5条)。

(5) 記録の作成及び保存等

ア 学校長は、正常解剖の解剖体として死体を受領したときは、省令で定めるところにより、当該死体に関する記録を作成し、これを保存しなければならないこととしたこと(法第6条第1項)。

なお、この記録は、死亡した者が献体の意思を書面により表示していたか否かにかかわらず、正常解剖の解剖体として受領した全ての死体に関し、作成し、保存するものであること。

イ 文部大臣は、学校長に対し、学校長が正常解剖の解剖体として受領した死体に関し、必要な報告を求めることができることとしたこと(法第6条第2項)。

(6) 文部大臣の指導及び助言

文部大臣は、献体の意思を有する者が組織する団体に対し、その求めに応じ、その活動に関し指導又は助言をすることができることとしたこと(法第7条)。

(7) 国民の理解を深めるための措置

国は、献体の意義について国民の理解を深めるため必要な措置を講ずるよう努めるものとすることとしたこと(法第8条)。

 

第2 医学及び歯学の教育のための献体に関する法律に基づく正常解剖の解剖体の記録に関する省令について

1 制定の趣旨

法第6条第1項に規定する死体に関する記録に記載する事項及びその記録の保存年限について定めたこと。

なお、この記録は、死亡した者が献体の意思を書面により表示していたか否かにかかわらず、正常解剖の解剖体として受領した全ての死体に関し、作成し、保存するものであること。

2 内容

(1) 法第6条第1項に規定する死体に関する記録に記載する事項を定めたこと(省令第1条)。

なお、記録の作成に当たっては、以下の要領によるものとする。

ア 死亡の年月日、場所及び原因(第2号)については、医師法(昭和23年法律第201号)第19条の規定による死亡診断書又は死体検案書の記載により、記載すること。

イ 死体の受領の年月日及び場所並びに死体の受領に至るまでの経緯(第3号)については、受領の場所、死体を引き渡した者、受領の情況等、受領に至るまでの経緯が具体的に分かるように記載すること。

ウ 遺族その他の死体に関する連絡先となる者の氏名及び住所並びに当該連絡先となる者と死亡した者との関係(第4号)については、例えば、市町村の担当者等、当該死体に関して直接に連絡する相手方について記載すること。

工 火葬の年月日(第7号)については、墓地、埋葬等に関する法律施行規則(昭和23年厚生省令24号)第9条の規定により火葬許可証に記入された日時により、記載すること。

なお、学校長において、火葬を行わずに返還したときは、「火葬の年月日及び場所」に代えて、その旨及びその理由を記載すること。

オ 遺骨の返還の年月日及び場所(第8号)については、実際に、遺骨引取者に遺骨を引き渡した年月日及びその場所を記載すること。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION