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また、医学・歯学の教育・研究における正常解剖の重要さについても話をし、毎年行われる慰霊式の記録写真をお見せするなど、ご遺体に対する私どもの感謝と畏敬の気持をお伝えしております。

これらのことは、火葬がすみご遺骨となってから引取者が判明した場合でも全く同様に行っております。ご遺体の場合には、この時点で進んで解剖をご承諾下さるご遺族もあり、またそれ以外の場合でも、丁重に保存していたことに対してご遺族または引取者から感謝されることの多いのが各大学での実状です。

 

?経費の負担について

第三には、経費の負担に関する問題が考えられます。大学に交付されたご遺体に関する経費については、死体解剖保存法第二十一条に、

「学校長は、第十二条の規定により交付を受けた死体については、行旅病人及行旅死亡人取扱法第十一条及び第十三条の規定にかかわらず、その運搬に関する諸費、埋火葬に関する諸費及び墓標費であって、死体の交付を受ける際及びその後に要したものを負担しなければならない」

と規定されています。

交付を受けたのちにご遺族や引取者が判明した場合、大学が負担したこれらの費用をその方々に転嫁することは、大学では決して致しません。ただし、ご遺体をお引渡しする場合には、それ以後にかかる費用(お棺代・大学からの移送費・火葬費等)については大学で負担致しかねます。解剖をご承諾下さる場合およびすでにご遺骨になっている場合には、ご遺骨をお引渡しするまでのすべての費用を大学で負担しております。

 

篤志解剖全国連合会について

 

設立の趣旨

献体篤志家は、昭和30年ごろから全国各地に献体団体を結成し、それぞれ独自に運営してきました。しかし、解剖体の対象として篤志家の重要性が増すとともに、これらの諸団体間の連携を密にし、また遺体受入機関である全国諸大学との交流をはかり、その助言を受けることが必要になってきました。このため、全国的なレベルで献体運動を推進するための恒常的機関の設置が必要であるとの機運が高まり、これを受けて篤志家団体側と大学側からなる設立準備委員会が発足し、日本解剖学会を通じて、全国の各大学の大多数の賛同も得て、昭和46年3月「篤志解剖全国連合会」が設立されました。

篤志解剖とは、「天寿を全うしたのちに、自己の遺体を解剖学教育のための実習教材として、大学に寄贈しよう」という献体篤志家の存在によって支えられるもので、この篤志家が構成する献体篤志家諸団体と、医学ならびに歯学の諸大学との有機的協力態勢を確立するのが篤志解剖全国連合会の設立の趣旨です。

 

 

 

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