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ご遺体引取り後に考えられる諸問題について

 

トラブルが起こり得るのは、交付の時点では身元不明または引取る者がいないと判断されていたご遺体に、のちになってご遺族または引取者が判明した場合です。

 

?なぜ解剖用として交付されたのか

この疑問に対しての十分に納得できる説明がされない場合に、そのことに対するご遺族や引取者の不満から起こるトラブルが第一に考えられます。この種のトラブルは、現れた関係者に、その心情への思いやりをこめて、以下の説明が的確になされれば、防げると思われます。

?医学・歯学の教育・研究のために正常解剖(4ページ)が社会的に重要なことなので、「死体解剖保存法」によって、解剖の行われ得る条件が定められていること。その規定によると、

?解剖を行うには遺族の承諾が必要(第七条)ですが、遺族その他の引取り手がいない場合には、医科・歯科大学長は正常解剖のために、そのご遺体の交付を死亡地の区市町村長から受けることができること。

?交付に至るまでにも、その後においても、身許調査、照会、公示など引取者を捜すことに手を尽して来ていること。

大学においては、??はもちろん、?についてもお聞きしている範囲のことについてはご説明できますが、何といっても?の事実と、現れた関係者に最初にお話しされる所での応対の仕方が肝心だと思われます。

 

?ご遺体の取扱いに対する不満

第二には、ご遺体の取扱いに対する不満から起こるトラブルが考えられます。

大学では、ご遺族の有無にかかわらず、ご遺体すべてに対して、決して失礼があってはならないという基本方針で設備を整え、ご遺体に接しておりますし、交付されたご遺体にその後ご遺族その他の引取者が判明して、お引取りを希望なさった場合は、当然の処置としてご遺体をお引渡ししております。そしてその際に、大学がご遺体の交付を受けるに至った事情について充分にご説明いたします。

 

 

 

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