家庭問題情報誌『ふぁみりお』第13号から抜粋
親子が楽しく面会・交流するために
-子どもがいる夫婦のための離婚セミナーから-
当センターでは、「子どもがいる夫婦のための離婚」セミナーを定期的に開いております。参加者の皆様からは、離婚の前後に直面するさまざまな問題を、自分ひとりの悩みとして抱え込むのではなく、子どもを持つ親に共通な問題としてとらえることができたと評価をいただいております。今回は、前回に引き続いて、離婚後の親子の面会・交流についてまとめてみました。別れて暮らす親と子が、そうでなくても難しい交流を、どうしたら《楽しく》続けることができるか、考えてみましょう。
ポイント1 気持ちを切り替える
離婚するまで悩まされていた相手に対する拒否的な感情や、被害感の幻影から早く解放され、気持ちを切り替えて自分と相手を見直しましょう。夫と妻という関係から、子の父と母という立場に切り替えるのです。
前者は解消すれば他人となる関係ですが、後者は辞めるわけにはいきません。父母は、別れて暮らしている親子の交流を続ける努力をするなかで、父性、母性を成長させていく機会を得るのです。
ポイント2 他方の親としての役割を尊重する
子と同居する親は、父母の両方の役割を演じなければならないと思いがちです。たしかに、同居親は子に対する責任を一身に負っていますし、そこにいない人をあてにするわけにはいきません。しかし、もう一方の親の役割をあてにすることと、その役割を尊重することとは別です。面会・交流が行われていない理由として「こちらは子どもに会わせていいと言っているのに、相手の方が関心を持たないので」と言う同居親がいます。ほんとうに会わせていいと思っているのなら、相手の役割が尊重されていることを伝える方法はたくさんあるはずです。まず、あなたが奪っているかもしれない相手の役割を手離して、相手に返しましょう。
ポイント3 子どもの力を信じる
子どもは、父母の両方から愛されているという安心感を必要としています。子の年齢によっては、同性の親と競争したり、異性の親を独占したりする欲求も芽生えます。父母の両方と接することによって、人には性格や考え方に違いがあるのだということも分かってきます。「相手に会わせると子どもが混乱する」と言って会わせたがらない同居親がいますが、もっと子どもを信じましょう。両方の親から愛されていると感じている子どもは、違いを経験することによって混乱してしまうことはありません。
ポイント4 子どもの忠誠心葛藤を理解する
親が不仲になると、子は、一方の親に忠誠を尽くして得られる称賛を、他方の親からは得られなくなるのではないかと疑心暗鬼になります。この不安を持つ子どもは、別居親との交流が楽しかったことを率直に同居親に言えません。当日がくると腹痛をおこしたりしますが、別居親に会うのをいやがっているというよりは、同居親が不機嫌になるのを恐れていると理解した方がよい場合があります。親双方の不信感が子どもの楽しみを奪っていると言えましょう。
ポイント5 子どものサインを読み取る
面会・交流はどうあるべきか、適当な回数は、1回の時間は、場所は……といった議論を百万遍繰り返してみても始まりません。子どもにとっては、それが楽しかったかどうかの結果が大切なのです。ほんとうに楽しかったら、他の何をおいてでも子どもは喜んで次の機会を待つでしょう。そうでなかった場合には、種々の形で拒否のサインを発します。これらのサインをきちんと読み取ることが、面会・交流を楽しくさせ、長続きさせる決め手となります。