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家庭問題情報誌『ふぁみりお』第14号から抜粋

親子が楽しく面会・交流するために(続)

-子どもがいる夫婦のための離婚セミナーから-

 

前号に引続き、当センターの離婚セミナーから報告として、親子が楽しく面会・交流する方法の続編をお届けします。今回は、このシリーズの最終回の報告でもありますので、子どもの立場からまとめてみました。子どもを虐待する親を罰する規定を1997年9月に設けたドイツ連邦に見られるように、子どもの法的立場を確保する諸外国の立法の動きが伝えられている昨今です。わが国でも1994年5月16日に、「児童の権利に関する条約」が批准され、同条約第12条《子どもの意見表明権》の具体的実現に向けての各界、各層の努力が課題とされているときでもあります。親子の面会・交流の場面においても、子どものほんとうの気持ちが自由に言えて、それが尊重されるような配慮が求められています。

 

ポイント6 肌は口ほどにものを言う

私は赤ちゃん。言葉は使えないけれど、ちゃんとお話しができます。清潔にしてもらったときなど、気持ち良かったと安心感を肌全体で感じて、自然に手足が動きます。おなかが一杯になるといつの間にかママの胸からパパの腕に移っているのが夢の中で分かります。

「この子は、熱を出す前には唇の上に赤いアザができるから気を付けて」とママがパパに教えてくれたので、パパのお家に行っても安心です。パパとママが、自分の目で直接私からサインをキャッチしてくれるとき、《ほんとに親なんだナー》と私には思えます。

 

ポイント7 口うるさいのは、どちらもきらい

「ちゃんと……するんですよ」などと、大人はなぜ会うたびに同じことを口うるさく言うのだろう。聞かされる方は《またか》とうんざりしてしまうのに、どうして分からないのかな。たいていは親同士がうまくいかないための不満のとばっちりなんだけれど、親の方はそんなこと幼稚園の子どもには分からないだろうと高をくくっているらしい。これじゃせっかく会っても、面白くなくなるよ。これをやめてくれれば、パパもママもどちらも大好きなのに。

 

ポイント8 自分たちの混乱を私のせいにしないで

親が離婚のことで悩んでいるのを見るのは、子どもにとっても辛いことです。同時にとても不安になります。これから誰と暮らし、どこに住むのか、学校はどうなるのか、友だちとも別れなければならないのか、誰かにいじめられたりしないだろうか……。

だから、この時期に別れている親に会わせると子どもが不安定になると言って争っています。ほんとうは親の「大丈夫よ」の一言があればいいだけなのに。親は、互いに相手が悪いと言って責めているけれど、子どもにしてみれば、悪い方の親だって親なのだから、当然傷付きます。一方で相手を責めながら、どうすれば子どもを傷付けずに離婚を知らせることができるかなどと迷うのは、虫がよすぎますよ。会えと言われてお腹が痛くなったりするのは、会いたくないからではなくて、「大丈夫よ」の一言がないからなのです。

 

ポイント9 子どもの考えを尊重して

親は、子どもの考えを直接聴いてもないのに、自分ではよく分かっているつもりでいます。だから、子どもが自分の思いどおりにならないととてもびっくりします。子どもにだって人に話したくないこともあれば、忘れようと自分に言い聞かせていることもあります。だからこそ小さくてもそのままの自分を信頼してくれ、人間として尊重してくれる人にほんとうの考えを聴いてもらいたいのです。

 

ポイント10 親はパートナーシップを身に付けて

親は面会・交流の折り合いをつけるには、条件面で争っても役に立たないことに早く気がついてほしい。パートナーとしてどんな協力方法があるかを考えてほしいですね。そうすれば子どもは安心して二つの家に自分の居場所を見つけることができるし、尊重されていると思うから両方の違いもちゃんと分かる。会うことが楽しくなってきますよ。

 

 

 

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