家庭問題情報誌『ふぁみりお』第9号から抜粋
親の離婚を子どもにどう伝えるか
-子どもがいる夫婦のための離婚セミナーから-
夫婦の関係は壊れているのに、離婚が子どもに与える影響が心配で、子どものために離婚できないと思って我慢している夫婦がたくさんいます。しかし、離婚を決心したときには、親はそれを子どもに伝えなければなりません。本号では、子どもの心を少しでも傷つけないように、親が離婚を子どもに伝えるときに配慮すべきことを述べてみます。
正直に話す
親の離婚の渦中で子どもが感じ、影響を受けることがらについては、第6号の「親の離婚にゆらぐ子どもたち」に述べましたが、子どもは、親が離婚してはじめて傷つくわけではなく、両親の不和の中ですでに傷ついてます。いたずらに紛争を長引かせず、決断したらきちんと伝えた方がよいのです。子どもはそれなりに理解します。隠し事や嘘は、子どもに余計な想像をさせ、不安を増大させます。
子どもに責任を負わせない
離婚は父と母がうまくやれなかったからであると話すことが必要です。子どもは自分の言動がもとで親が離婚したと感じると、罪意識をもってしまいます。
別れた方がよいか、父母のどちらが正しいかなど、子どもに意見や判断を求めてはいけません。子どもはそれを期待される立場にはないのです。子どものために離婚しないで我慢するという言い方も、子どもに負担を感じさせることが多いものです。
他方の親の悪口を言わない
子どもは両親からその血を引いています。相手が悪いから離婚するという親の言い方は、子どもに自己否定や自己嫌悪の感情をもたらします。悪いと言われる血を半分引いていると思うからで、特に、非難される親と同性の子どもの傷は深くなります。
結婚は全人生の失敗ではない
人間は完璧ではなく、親にも欠点も長所もあります。親は結婚には失敗しましたが、仕事や友人関係などはうまくいっているかもしれません。また、今は落ち込んでいますが、いずれ立ち直れるでしょう。人生すべてに失敗したわけではないのです。子どもにそのことを伝えることが大切です。子どもは、結婚がうまくいかないと人生すべてがだめになるような不安を感じて、結婚に否定的になったりすることがあります。
いつまでも親子は親子
親の離婚によって、子どもは両親とともに暮らさなくなるだけで、生涯、親子の縁は切れないのだと伝えることが大切です。それは、子どもに、別れて暮らす親から見捨てられたり、自分が親を見捨てたというような感情を抱かせないためです。また、別れて暮らす親も、子どもの成長を支え続ける責任があるからです。子どもと一緒に生活する親は、別居親と子どもの交流を保障してやらなければなりません。
BOOK
「子どもをいじめから救うために-家族臨床と非行臨床からの提言-」
野田愛子監修
日本評論社
家庭問題 情報センター編著
河合隼雄氏(国際日本文化センター所長)
本書は、家族問題の解決に関して経験豊かな調査官経験者が、その経験を生かして、わが国の家族のありかたについて、多くの知恵を提供してくれている。
金平輝子氏(全国更生保護婦人連盟会長)
類書にない新鮮で深い視点から、いじめのメカニズム、具体的な局面での応急措置、根本的解決策などを分かりやすく解説している。