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海外TOPICS?E

 

刑務所にいても

子どもには会いたい

 

アメリカでの話。受刑中の男が,前から別居していた内縁の妻に対し,3歳になる息子を毎月1回面会に連れてくるようにとの裁判を起こしました。母親は,子どもに面会させるのにふさわしい父親ではないと反対。裁判所が下した決定は,「父親は3箇月毎に少なくとも1回は手紙を出し,母親はこれを子どもに読んでやること。母親は父親から送ってくるプレゼントなどはすべて子どもに与えること。母親は3箇月毎に少なくとも1回は子どもの成長記録を父親に送ること」というものでした。母親はこの決定を不満として控訴しましたが,控訴審では,父親と息子のかかわりは,いろいろな制限があってもないよりはましであり,父親に通常の面会をする権利を与えるかどうかは,刑務所を出てから判断すればよいと,原審の決定を支持して控訴を棄却しました。父親も母親も,手紙や記録を書くことが義務づけられてしまい,とんだヤブヘビの感じですが,子どもにとっては,取りあえずは幸せな結末と言えましょう。

 

おじいちやんも

孫に会いたいぞ

 

これもアメリカのお話。日本では,夫婦が離婚すると,子どもを引き取った親は,もう一方の親に子どもを会わせないようにする傾向がありますが,アメリカでは,離婚しても,子どもの面倒は双方の親がみるというのが常識のようになってきています。これを共同監護といいます。また,たとえ一人の親だけが面倒をみる場合でも,もう一方の親は,子どもに会う権利,つまり面接交渉権を持っているということで,離婚の際にその取決めをするのが一般的です。このことだけでも,かなり進んでるという感じですが,10年ほど前の調査によれば,アメリカ50州のうち40州が,父母の面接交渉のほかに,祖父母の面接交渉についての規定を設けているというのですから,驚きます。別れた親が,息子や娘に会いたいとやってきたかと思うと,今度は,おじいちゃんやおばあちゃんが,孫に会いたいとやってくる。子どもや一緒に暮らす親の方はどう感じているのでしょうか。お国柄が異なるといろいろなことが起こるものですね。

 

面接交渉権は

ホントはボクたちの権利なんだぞ!

 

今度は国際的なお話。本年5月にわが国でも批准された条約である「児童の権利に関する条約」の第9条には,「締約国は,児童の最善の利益に反しない限り,父母の一方又は双方から分離されている児童が定期的に父母のいずれとも個人的な関係及び直接の接触を維持する権利を尊重する」とあります。つまり,面接交渉をする権利は,親の権利という従来の書え方ではなく,子どもの方の権利であることを明確にしています。親の離婚後も,子どもが双方の親との交流を通じて成長発達する権利としてとらえらえるようになったわけです。

1994年は,「国際家族年」でしたが,一面では「子どもの権利元年」でもあったといえましょう。面接交渉という言葉は,わが国ではまだまだ一般的に馴染みが薄いのですが,法律の整備とともに現実の問題となりつつあります。

FPICでは,これらの動向を踏まえ,面接交渉が本当に子どものためになるようにと願って,無料で「子どもがいる夫婦のための離婚セミナー」などを連続開催しているところです。

 

 

 

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