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FPICから

 

親の離婚にゆらぐ子どもたち

-どちらの親にも愛されたい!-

 

嵐の中の子どもたち

離婚に至るまでの両親の深刻な対立や反目の中で,子どもたちは不安におののき,ときには間を取り持とうとけなげな努力をします。自分たちのことで精一杯の両親には,嵐の中で身を伏せているわが子が,目に見えていないことが多いのです。

 

心の半分を失う子どもたち

離婚となると,子どもたちは,親の一人だけでなく,場合によっては,きょうだいや住み馴れた家,さらには友だちからも引き裂かれます。愛着や友情を育んでいたものが一度にもぎ取られ,その喪失感や空しさに悩み,見捨てられたのではないかと苦しみます。それが高じると,心身症になったり,非行に走ったりすることがあります。

 

我慢の糸が切れる子どもたち

ふたたび見捨てられるのではないかとの不安から,一緒に暮らす親や先生に,必死にしがみつく子どもがいます。しかし一方で,一所懸命に背伸びをして,家事を手伝ったり,親やきょうだいの面倒をみたりして,そのけなげさや大人びた振る舞いで,周りの人の涙を誘う子どもがいます。ほかの子どものように甘えたい,遊びたい年頃でありながら,いやでもしっかりしなければならない子どもの哀しみも分からずに,無理を続けさせていると,我慢の糸はプッツンと切れて,「えっ、あの子が?」とびっくりするほど無気力な子どもになったり,手に負えない子どもに変身することがよくあります。

 

異性観や結婚観が歪められる子どもたち

親同士は離婚によって他人になれても,親子の縁は切れません。子どもにとっては,どんな親でも掛けがえのない親です。どちらの親からも愛されたいと思うのは当然です。別れて暮らす親の悪口を聞けば聞くほど,その血をひく子どもは,自分の悪口を言われているように感じます。そして,大きくなるにつれ,温かい家庭にあこがれてか、あるいは自分ならもっと上手くやってみせると考えてか,17,8歳で同棲を始める子どももいます。逆に,異性への不信感が増幅され,結婚や家庭を持つことを極端に怖れる子どももいます。

 

離婚した親として何をすべきか

両親の離婚によって,子どもは傷つき,その後の親の対応いかんによっては,その傷はますます深くなり,子どもの将来に取り返しのつかない悪影響を及ぼすことを,肝に銘ずるべきです。どんなことがあっても親子の縁は切れないのですから,これからは,子どもの将来のために,親のニーズよりも子どものニーズを優先させる必要があります。離婚するまでは,対立当事者であったとしても,これからは,親同士が子どもの幸せを共に考える協同作業者へ変身するのが一番大事なことです。それこそが,離婚した親に課せられた最大の責任と言えましょう。

 

 

 

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