第2章 地方公共団体間コミュニケーションの現状と課題
総合行政ネットワーク構築の目的は、電子化された行政文書等の交換・提供やデータベースの相互利用による地方公共団体の行政事務の効率化・スリム化及びネットワークを利用した住民サービスの向上である。
こうした目的を達成するためには、一定仕様に基づく電子行政文書等の交換・提供や、無秩序なネットワーク構築による二重・三重投資を抑えることが必要であることはいうまでもない。
総合行政ネットワークの構築に当たっては、地方公共団体間において交換・提供されている情報の実態、情報交換の手段、既存のネットワーク及びネットワーク構築に対する地方公共団体の意向・要望を調査し、この調査結果の分析・検討結果に基づいて、地方公共団体の現状と将来の動向に対応しうる情報通信インフラを構築していく必要がある。また、この調査の結果から情報通信インフラにより交換・提供すべき情報を明らかにするとともに、早期に全地方公共団体を接続するために必要なプロセスを明らかにすることが必要である。
このために、地方公共団体の現状を把握するために以下のヒアリング調査を行った。なお、本章におけるアンケートは自治省が本年度に実施した結果を用いた。
(当センター実施)
●行政文書の流れと関連組織に関するヒアリング
(自治省実施)
●地方公共団体間における情報交換手段の実態調査(アンケート)
●地方公共団体における対外接続ネットワークの現状調査(アンケート)
●ネットワークを利用した行政事務の効率化及び住民サービス向上に関する意識調査(アンケート)
第1節 行政文書の流れと関連組織
地方公共団体における行政情報の流れの実態を把握し、総合行政ネットワークの対象を絞り込むことを目的にヒアリングを行った。
ヒアリングは後述のアンケート調査の補足として、県、政令指定都市、市より各1団体を抽出して行った。
1-1 地方公共団体間の文書の交換・提供の流れ
ヒアリングの結果、地方公共団体間の文書の交換・提供の流れについては、以下のように図式化できると考えられる。