定型的調査・点検型の業務は、地方公共団体でも、すでに多くの活用事例がある。住民名あるいは戸外の現場への調査。点検に出向く前に、必要なデータをあらかじめ庁内システムより携帯情報端末へダウンロードしておき、訪問先では、端末に表示される項目に従って調査・点検を実施し、その結果をペンなどで入力していく。選択式の質問・点検項目があらかじめ決まっている場合に効率よく活用できる。また、現場で点検結果を携帯型プリンターで印刷し、点検結果を基に指導を行なう。さらに収集したデータは、帰庁後に携帯情報端末から庁内システムへ転送するか、携帯通信機器を利用して、現場から庁内システムへ直接送信する。
?@世帯調査などの統計調査
?A病院内における入院患者の看護支援
?B使用水道量の検針・下水道施設の定期点検
2-4 位置情報利用型
携帯情報端末や携帯通信機器にGPSを組み合わせ、位置情報も併せて活用していく方法である。センターから移動車両に目的地を指示し、詳細な位置を地図として伝える、あるいは、移動車両の現在位置をセンターが把握するなど、応用範囲は多岐にわたり、今後更に利用が拡大すると考えられる。
なお、民間企業における利用例には次のものがある。
?@事故発生時の緊急車両の位置管理と業務指示情報の伝送
?B移動車両の運行管理と最適配置
位置情報利用型は、今後の地方公共団体での活用方法として、非常に有望かつ効果的であるものと考えられ、その応用分野も多岐にわたるものと予想される。特に、消防・防災分野では、非常時・通常時を問わず活用効果が期待でき、その他にも位置情報を活用するすべての分野に適用が望める。
?@救急車両の最適配車
?A災害発生現場の位置確認
?B避難所などの位置確認
?C徘徊老人の探索
第3節 行政業務における携帯情報ツールの活用イメージ
ここでは、これまでの分析結果を総合的に捕らえ、将来、地方公共団体において携帯情報ツールの活用が望まれる分野と、活用イメージを取りまとめる。
まず、次ページの表では、携帯情報ツールの活用が見込める業務を、本章第2節で示した4つのパターンに当てはめ、対応関係を○印で示す。
さらに、「利用イメージ図」欄には、表に続く図に対応した記号を示す。
なお、携帯情報ツールの利用イメージが似通ったものについては、代表する1つのイメージ図に統一している。