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第3章 携帯情報ツールの活用集態

 

第1節 地方公共団体における活用業務と利用実態

 

一部の地方公共団体では、早くから携帯情報ツールの利用メリットに着目し、庁外で実施する行政業務などで積極的に携帯情報ツールを活用している。また、昨今の情報技術の発展や、情報通信環境の全国的な整備につれて、さらに多くの地方公共団体が、様々な業務分野で携帯情報ツールの活用を検討し始めているのが実情である。

本節では、地方公共団体を対象に実施したインタビュー結果などを踏まえ、地方公共団体における携帯情報ツールの活用状況と動向などについて述べる。

 

1-1 消防・防災分野

 

消防・防災分野での庁外作業は、災害発生などの非常時だけでなく、日常的にも遂行されている。消防分野においては危険物施設等建物の査察や、一般家庭に対する防火診断などがある。また防災分野においては、危険個所などに対する定期的予防調査や、災害発生時における被災地域での情報収集・被災状況調査などがある。

消防・防災分野における災害発生時の被災状況の情報収集活動は、その後の救命・救援活動を効果的に遂行するための重要な鍵を握るものであり、兵庫県南部地震以降、被災現場と地方公共団体との間で如何に効果的な情報伝達を行うかに注目が集まっている。

各防災関連機関では、どのような現地情報を、正確かつ素早く意思決定機関に送るか、また、現地にフィードバックするか、という命題を克服するべく様々な体制を構築しているが、携帯情報ツールの活用は、明らかにこの命題に答えを出すことができると考えられる。

次に示す3例(1例は実験段階)では、携帯情報ツールの機動性、即時処理性を効果的に活用しており、業務の効率化やサービスの質の向上、情報収集結果の即時送信や中央の意思決定機関に対する判断材料の即時提供などに大きな効果をあげている。消防分野では、査察業務と防火診断業務における活用事例を、防災分野では、非常時におけるカメラを用いた被災現場情報報告業務と、GPSを用いた近隣地域連携型の避難所等被災情報管理業務における活用事例についてまとめていく。

 

 

 

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