日本財団 図書館


7. まとめ

本論文で得られた知見を簡単にまとめると、次のような結論となろう。

? 開国以降、昭和45年(1970)までの日本の国際観光政策は、その実施体制と政策成立の背景から、細かく7つ、大きく「? 萌芽」「? 確立」「? 再確立.結実」の3つの時代に区分できる。さらに、各期の特徴は表―3のようにまとめられる。

? 国際観光政策の実施が、政府部内で真剣に取り上げられたのは、大平洋戦争を挟んだ?期(明治45年〜昭和17年)と?期(昭和20〜45年)であり、?期には「外貨獲得」及び「孤立回避」を狙いとし、田期には「平和な文化国家建設」を目指した。

? フィジカルプランとしては、?期には重点観光地内の総合開発とそれらを連結するルートとの一体整備が構想され、?期になり全国的規模で再確立され政策決定された。

? 国際観光地及び国際観光ルートの選定は、各期に共通して存在した関東、関西の国際港と、外客が集中する既存観光地を各時代の主要交通幹線で結びつけることを想定し行われた。日光から下関に至る国土縦貫ルー卜は、各期に共通している。

? ホテル事業は、全期にわたって、公共性が認識され公的な支援が行われたが、特に4期に建設された国際観光ホテルは今でも良好な観光ストックとして残されている。

? ソフト面の施策は、総花的でなく、比較的廉価なものから手が付けられた。

? 宣伝の対象は、欧米中心であったが、4期にはアジア諸国にも力が注がれた。また、国民の啓蒙面は、3期以降施策として取り上げられ、その内容は、外客歓待ばかりでなく、正しい観光概念や国土美化思想の普及をも目的としていた。

? ?期のソフト面の施策の内容は、戦前の4期のものと類似しており、太平洋戦争による空白期をはさんで、遺産として継承されたものといえる。

038-1.gif

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION