日本財団 図書館


034-1.gif

 

こうして、戦前の4期にも構想されていた重点観光地域内での観光基盤や施設等の総合開発と、それら地域を縦貫し各々を連結する観光ルートとの一体整備が、初めて国土的規模で実施されることとなった。34年の審議会答申では、国際観光重点地域と主要国際観光幹線ルートが明確に記述されている。このうち特に緊急整備地域としてとりあげられたのは、オリンピック開催地の東京を出発地とするルート上の日光、京浜湘南、富士伊豆箱根、京阪神奈良である。また、利用交通機関として、道路、鉄道、航路に加えて航空路が登場し、オリンピック開催地としてばかりでなく、国際空港所在地として東京が重視されだした。

主要観光道路の整備、国内線・国際線における各々2機ずつの航空機の増備、大平洋航路への22千トン級客船の新造就航等も決定された。オリンピック景気で、先の国際観光ホテル整備法の適用を受けたホテル建設も相次ぐ。

また、昭和31年の道路整備特別措置法等により道路整備の財源が確保され、「展望道路等」の名称の観光関連道路の建設整備も進む。

 

7期(昭和38〜45年)では、この期首に成立された『観光基本法』の第1章第2条の「国際観光地及び国際観光ルートの総合的形成を図る」という条文を受け、観光政策審議会が「国際観光地及び国際観光ルートの整備方針」(昭和40年)を答申する。

国際観光ルートの選定にあたっては、2ケ所以上の国際観光地を結び周遊性をもつことと、効率的観光旅行を可能とする各周遊ルートの拠点となる外国人観光経路の出入国地を結ぶ縦貫性をもつことが基準となり、周遊8ルート、縦貫2ルートが選定された(図-7)。

国際観光地及び国際観光ルートは、国土全体に拡大され、6期と較べると、新たに北陸、山陰、南四国、南九州等が組込まれている。3、4期に構想された重点観光地域内での観光基盤や施設等の総合開発と、それらを連結する観光ルートとの一体整備という政策が、6、7期に至り、その実施度は十分とはいえないものの全国的規模の政策として再確立されたといえる。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION